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秋の季語「霧（きり）」の解説
霧は、白い雲のように細かい水の粒子が立ち込める秋の現象のことをいいます。秋のみでなく春にも同じ現象は発生しますが、これは春の季語の霞といいます。
秋の季語「霧（きり）」の子季語・関連季語・傍題・類語など
朝霧（あさぎり）／夕霧（ゆうぎり）／夜霧（よぎり）／薄霧（うすぎり）／濃霧（のうむ）／狭霧（さぎり）／霧の海（きりのうみ）／霧の谷（きりのたに）／霧の帳（きりのとばり）／霧の籬（きりのまがき）／霧襖（きりぶすま）／霧の香（きりのか）／霧雨（きりさめ）／霧時雨（きりしぐれ）／霧雫（きりしずく）
秋の季語「霧（きり）」を使った俳句一覧
- 湖霧も山霧も罩むはたごかな ／ 飯田蛇笏
- 霧さぶく屋上園の花に狆 ／ 飯田蛇笏
- 霧こめて日のさしそめし葛《カツラ》かな ／ 飯田蛇笏
- 山霧や虫にまじりて雨蛙 ／ 飯田蛇笏
- 霧の香に桔梗すがるゝ山路かな ／ 飯田蛇笏
- 園生より霧たちのぼる一葉かな ／ 飯田蛇笏
- 一とわたり霧たち消ゆる山路かな ／ 飯田蛇笏
- 山霧のしげきしづくや真柴垣 ／ 飯田蛇笏
- 山の霧罩めたる柿の雫かな ／ 飯田蛇笏
- うす霧に日あたる土の木の実かな ／ 飯田蛇笏
- 霧罩めて野水はげしや黍の伏し ／ 飯田蛇笏
- 山霧のかんがり晴れし枯木かな ／ 飯田蛇笏
- しばらくは月をとぼその夜霧かな ／ 飯田蛇笏
- 山霊をうとんずる月や霧晴るゝ ／ 飯田蛇笏
- 夕霧やうす星いでゝ笠庇 ／ 飯田蛇笏
- 地上三尺霧とぶ笠や麦を蒔く ／ 飯田蛇笏
- 山霧に蜻蛉いつさりし干飯かな ／ 飯田蛇笏
- 糸繰る女に芭蕉霧出てもありぬべし ／ 飯田蛇笏
- 舟解いて山霧にこぐや河下へ ／ 飯田蛇笏
- 谷の戸や菊も釣瓶も霧の中 ／ 飯田蛇笏
- 初霜や湖に青藻の霧がくれ ／ 飯田蛇笏
- 杣の戸をしめきる霧の去来かな ／ 飯田蛇笏
- 朝霧やさても富士のむ長次郎 ／ 池西言水
- 霧深き積石（ケルン）に触るるさびしさよ ／ 石橋辰之助
- 日輪のすゝけ顔あり霧襖 ／ 石橋辰之助
- 霧下りて灯の暈つくるキヤムプかな ／ 石橋辰之助
- 木がくれて濃霧の牛のあひ寄れる ／ 石橋辰之助
- 若駒の濃霧を現るゝ膚あはれ ／ 石橋辰之助
- 沼の霧明けゆく樹々に流れ入る ／ 石橋辰之助
- 岩燕霧の温泉壺を搏ちて去る ／ 石橋辰之助
- 霧こめてなほ笹原に日のひかり ／ 石橋辰之助
- 霧すぎて笹原わたる風の音 ／ 石橋辰之助
- 雪谿のひかりをへだつ霧かなし ／ 石橋辰之助
- 岩濡らすはげしき霧をなほ攀づる ／ 石橋辰之助
- 頂のしばしを霧に馴れ憩ふ ／ 石橋辰之助
- 霧ふかき積石に触るゝさびしさよ ／ 石橋辰之助
- 岩群を夕霧ふかくかへるなり ／ 石橋辰之助
- 山の子ら霧のプールに声をあぐ ／ 石橋辰之助
- 雲海になほ明けやすき霧かゝる ／ 石橋辰之助
- われ濡らし霧雲海に消え去りぬ ／ 石橋辰之助
- 短夜の国原とざす霧に濡れ ／ 石橋辰之助
- 真夜を立つ牧夫に霧の牧ひそか ／ 石橋辰之助
- 霧の夜のひとつ灯さげて牧舎出づ ／ 石橋辰之助
- 乳はこぶ馬に更けたる霧ゆけり ／ 石橋辰之助
- ウヰンドに朝霧降れりゆきゝなく ／ 石橋辰之助
- 石楠花に手を触れしめず霧通ふ ／ 臼田亞浪
- 立春の朝霧しづる枯枝かな ／ 臼田亞浪
- 山蝉や霧降る樹々の秋に似て ／ 臼田亞浪
- 山霧に蛍きりきり吹かれたり ／ 臼田亞浪
- 月見草別れてのちの山霧は ／ 臼田亞浪
- 雨霧らふ若葉の中の椎若葉 ／ 臼田亞浪
- 街の燈の一列に霧うごくなり ／ 臼田亞浪
- 栂風も添ふ山鳴りや霧の中 ／ 臼田亞浪
- 霧に影なげてもみづる桜かな ／ 臼田亞浪
- 霧よ包め包めひとりは淋しきぞ ／ 臼田亞浪
- 夢がちに明けて湖霧さわぐなり ／ 臼田亞浪
- 青毬を布くスロープの霧残す ／ 臼田亞浪
- 霧さがる谷間に粟を摘み暮らす ／ 臼田亞浪
- 迎火やほのに霧らへる竹の奥 ／ 臼田亞浪
- 熟れ稲の香のそこはかと霧は濃き ／ 臼田亞浪
- 底つ火に我が魂通ふ霧の中 ／ 臼田亞浪
- 霧はれて桟は目もふさがれず ／ 越智越人
- 初鮭や網代の霧の晴間より ／ 各務支考
- 霧の香や松明捨る山かづら ／ 加舎白雄
- 朝霧や瞼おもたき馬の上 ／ 加舎白雄
- 白樺の霧にひびける華厳かな ／ 川端茅舍
- 牛乳を呼ぶ夜霧の駅は軽井沢 ／ 川端茅舍
- 十三夜隴まつすぐに霧の這ふ ／ 川端茅舍
- 霧の森島のごとくになりにけり ／ 川端茅舍
- 霧こめて恵心寺見えぬ朝かな ／ 河東碧梧桐
- 川霧に竜の流るゝ筏かな ／ 河東碧梧桐
- 海楼の松薄霧に残る月 ／ 河東碧梧桐
- 霧立つや大沼近き宮柱 ／ 河東碧梧桐
- 磐梯の霧こめて暮色大いなり ／ 河東碧梧桐
- 足下にヒヨコ来鳴くや霧の中 ／ 河東碧梧桐
- 神業の晴れずの霧や山の湖 ／ 河東碧梧桐
- 雲霧や風は神よばひしてや鳴る ／ 河東碧梧桐
- 雲霧山を奪へば山鬼火を呪ふ ／ 河東碧梧桐
- 灯台のともる港や霧の中 ／ 河東碧梧桐
- 雁は文字おほふや霧の韻塞 ／ 北村季吟
- 霧にさす傘の雨なり秋の暮 ／ 久保田万太郎
- おもひでの道墓みちの夜霧かな ／ 久保田万太郎
- 山霧のわきくるとんぼ群るゝかな ／ 久保田万太郎
- 沖の霧来てきびばたけつゝむ夜々 ／ 久保田万太郎
