NEW! キゴサーチ(冬) いつ「凍つ(冬)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月16日 服喪かな全土凍てつく燈を落とし 中原道夫「一夜劇(2016)ふらんす堂」 十一月十五日パリ・シャルル・ド・ゴール空港着と言う前書きがついています。パリの緊迫した状態を告げる掲句。実は同時多発テロが起きた直後のパリ入りだったのです。「主謀者の潜んでいた隠れ家から然程離れてゐない所に私の宿はあり、その距離から當然緊張は強...俳句の作り方
キゴサーチ(冬) 最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」(冬) 2021年1月15日 ア行 イ いちようき「一葉忌(冬)」 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/853 いつ「凍つ(冬)」 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/862 プロフィール 蜂谷一人 1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。...俳句の作り方
キゴサーチ(冬) いちようき「一葉忌(冬)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月15日 イブノーシンセデスバファリン一葉忌 櫂未知子「カムイ(2017)ふらんす堂」 もの尽くしの俳句です。イブ、ノーシン、セデス、バファリン、すべて頭痛薬。井上ひさしの戯曲に「頭痛肩こり樋口一葉」があります。掲句はここから着想を得たのでしょうか。実際、一葉は頭痛もちだったようで、それには理由があったとのこと。箱枕の使用。日本...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) もちばな「餅花(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月14日 餅花に集まるごとく相席す 津川絵理子「夜の水平線(2020)ふらんす堂」 餅花とは柳などの枝に、小さく丸めた紅白の餅をつけて神棚の近くに飾るもの。近年では、家に飾る方は少ないでしょうが、商店街や和食の店の飾りとしてよく目にします。掲句、相席ですから和食店ではないでしょうか。正月で混み合っているため、相席になった。その...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) おさがり「お降り(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月13日 由良の門にゆたかに浪もお降りも 仙田洋子「はばたき(2019)角川書店」 由良の門とは丹後国(現在の京都府宮津市)を流れる由良川の河口。潮の流れが激しいところとして知られています。百人一首に「由良の門を渡る舟人かぢをたえゆくへも知らぬ恋の道かな 曽禰好忠」という歌があるので、ご存知の方も多いでしょう。こちらの歌の大意は...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) ほうらい「蓬莱(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月12日 蓬莱やプラスチックは腐らない 池田澄子「此処(2020)朔出版」 蓬莱とは、中国の伝説に登場する仙人が住む不老不死の地のこと。これをかたどった新年の飾りも同じ名で呼ばれます。歳時記によれば「三方の上に紙、羊歯(しだ)、昆布、ゆずりはを敷き、その上に米、橙(だいだい)、蜜柑、柚子、橘(たちばな)、榧(かや)、かちぐり...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) はつゆ「初湯(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月11日 女湯に天井つづく初湯かな 小川軽舟「朝晩(2019)ふらんす堂 銭湯でしょうかホテルの大浴場でしょうか。男湯と女湯はこの句のように天井がつながっています。ですから声が筒抜け。その上、風呂は声が響きます。カラオケのない昔は歌を練習する場所と言えば風呂でした。筒抜けで声が響くのですから、やろうと思えば男湯と女湯で会話もで...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) はまゆみ「破魔弓(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月9日 空渡れよと破魔弓を授かりぬ 恩田侑布子「夢洗ひ(2016)角川書店」 弓矢は神話によく登場します。例えばインド神話の「サルンガ」。太陽神の持つ弓矢で矢には翼があり、その先端は光と炎で出来ています。北欧神話の「ミストルテイン」オーディンの息子の命を奪ったヤドリギの矢です。日本神話の「天乃麻迦古弓(あまのまかこゆみ)」...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) がんじつ「元日(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月8日 元日や常のごとくに人を焼き 片山由美子「飛英(2019)角川書店」 「インド十句」と前書きのある一句。あとがきに次のように記されています。「インドでは、ガンジス川で沐浴する人々の近くで荼毘の煙が上がっている。それが日常であるが、その川に舟を浮かべ、初日の出を待った。私のなかでは漠然と、死は生の終りにあるものだったが、...俳句の作り方
キゴサーチ(新年) かるた「歌留多(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】 2021年1月7日 くろかみのうねりをひろふかるたかな 恩田侑布子「夢洗ひ(2016)角川書店」 くろかみのうねりとは、歌留多の図柄でしょうか。百人一首には詠み人の肖像が描かれていて、紫式部、清少納言、和泉式部など女性の歌人は黒髪をうねらせています。歌留多を取るのではなく、黒髪のうねりを拾う。このレトリックが秀逸。うねりという言葉のおかげ...俳句の作り方