- 日の影の石にこぼるゝ瓢かな
- 名の高き遊女聞こえず御代の春
- 鳥既に闇(くらが)り峠年立つや
- 舟に問へば古里がよし花の春
- 星を見るなら夕暮の海
- 炭窯や鹿の見て居る夕煙
- 鳴(なき)ながら川飛(とぶ)蝉の日影かな
- 夏川や流れるもののみなうつくしき
- 落(おち)鮎や水に酔(よひ)たる息づかひ
- 広庭に淋しくまはる一葉かな
- 玄峰居士匂ひのこりて花の雲
- 埋火や野辺なつかしき蕗の薹
- こしらへて有とはしらず西の奧
- 一夜づつ淋しさ替はる時雨かな
早野巴人 プロフィール
早野巴人(はやの はじん、延宝4年(1676年) - 寛保2年6月6日(1742年7月7日))