目次
井上井月の俳句一覧
春
- 用のなき雪のただ降る余寒かな
未分類
- ひとつ星など指さして門すずみ
- よみ懸けし戦国策や稲光
- 旭(ひ)は浪を離れぎはなり鷹の声
- 芋掘りに雇はれにけり十三夜
- 乙鳥(つばくろ)や小路名(こじな)の多き京の町
- 何処やらに鶴の声きく霞かな
- 岩が根に湧く音かろき清水かな
- 寄せて来る女波男波や時鳥
- 玉苗や乙女が脛(はぎ)の美しき
- 駒ヶ根に日和定めて稲の花
- 降るとまで人には見せて花曇
- 今日ばかり花も時雨よ西行忌
- 菜の花の小径を行くや旅役者
- 山笑ふ日や放れ家の小酒盛
- 時雨るや馬に宿貸す下隣
- 若鮎の瀬に尻まくる子供かな
- 手元から日の暮れゆくや凧
- 手枕の児にちからなき団扇かな
- 酒さめて千鳥のまこときく夜かな
- 酒となる間の手もちなき寒さ哉
- 秋風や身方が原の大根畑
- 舟を呼ぶこゑは流れて揚雲雀
- 春の野や酢みそにあはぬ草の無
- 春雨や心のままのひじ枕
- 春風に待つ間程なき白帆哉
- 春風や碁盤の上の置き手紙
- 初空を鳴きひろげたる鴉かな
- 初時雨からおもひ立首途(かどで)かな
- 松の雪暖かさうに積りけり
- 乗合の込日を鐘の霞けり
- 寝て起て又のむ酒や花心
- 水際や青田に風の見えて行く
- 船を呼ぶこえは流れて揚雲雀
- 霜除ける菊や小庭のしき松葉
- 鷹匠の涕(はな)すすり込(こむ)旭かな
- 淡雪や橋の袂(たもと)の瀬田の茶屋
- 遅き日や碁盤の上の置手紙
- 蝶に気のほぐれて杖の軽さかな
- 天竜や夏白鷺の夕ながめ
- 塗り下駄に妹(いも)が素足や今朝の秋
- 梅が香や流行(はやり)出したる白博多
- 飛ぶ星に眼のかよひけり天の川
- 富士にたつ霞程よき裾野かな
- 風涼し机の上の湖月抄
- 名月や院へ召さるる白拍子
- 明日知らぬ小春日和や翁の忌
- 迷い入る山に家あり蕎麦の花
- 目出度さも人任せなり旅の春
- 柳から出てゆく船の早さかな
- 落ち栗の座を定めるや窪溜まり
- 涼しさの真ただ中や浮見堂
井上井月 プロフィール
井上 井月(いのうえ せいげつ、文政5年(1822年) - 明治20年2月16日(1887年3月10日)