リフレイン【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】




言葉やフレーズを繰り返すこと。音楽的な表現で歌詞によく見られます。俳句は十七音と短いので多用はできませんが、成功すると大変印象的になります。

西国の畦曼珠沙華曼珠沙華   森澄雄

西国には多くの霊場があり、街道を遍路が旅します。畦には曼珠沙華。花の名を繰り返すことで 真っ赤な映像が重なりどこまでも赤い畦道が目に浮かびます。曼珠沙華は死人花とよばれるように、生と死の世界をつなぐ花。供養の思いまで伝わってくる一句です。

きんかんの苗木きんかん十ばかり   高野素十

岸本尚毅さんによればこの句はもともと きんかんの十ばかりなる苗木かな でした。それを推敲して掲句のかたちに。きんかんの苗木は品種を示し、きんかん十ばかりは、実のなり方をはっきりと見せてくれます。写生の名手といわれた素十は、リフレインを使ってリズムをよくしただけでなく、写生句としての精度も高めています。推敲前の句を読むことで、思考の経過を辿ることができます。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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