直喩と暗喩のふたつの形式があります。直喩は「○○のごとく」「○○のやうな」。暗喩は「ごとく」や「やうな」を使わない比喩のことです。写生を直球とすれば比喩は変化球。切れ味がよくないと簡単に打たれてしまいます。しかし勝負どころでは、打者のを鋭くえぐるシュートや、目の前で消えるフォークボールも必要です。 ところで、比喩の中に...
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超初心者向け俳句百科ハイクロペディアの記事一覧
先日の句会にこんな句がありました。 やわらかきものに赤子の手と仔猫 茂克 よくわかりますよね。赤子の手と仔猫、どちらも確かに柔らかい。きっちり定型に収まっていて、よく出来ています。しかし、ここで満足していてはさらなる上達は望めません。仔猫は季語(春)ですから外せないとして、赤子の手のほうを少し変えてみませんか。赤子...
俳句の必殺技の一つ。少し俳句に慣れてきたら是非お勧めしたいかたちです。 見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮 藤原定家 新古今和歌集に登場する有名な歌です。この歌では、花、紅葉という華やかなものを出しておいて、いきなり「なかりけり」と否定します。カラフルな残像が消えてゆくような効果をあげているのがわかります...
万愚節とはエイプリル・フールのこと。この略し方はとってもお洒落。カタカナを漢字にして音数を縮めただけでなく気分をぴたりと言い留めています。バイスクルを自転車と訳した昔のひとのセンスを感じます。 植木屋は頭上に休む万愚節 一人 さて、この句を見て思い出す人はいませんか?絶対ご存知のはず。ほら有名な植木屋さんですよ。ほ...
過ぎゆく春を惜しむこと。情感の大変豊かな季語ですが、案外使い方が難しいのです。俳句さく咲く!で詠まれた句をみてみましょう。 ぼんやりと水月眺め春惜しむ 上西星来 水月は水に映った月。映像的な句になっています。ところが 眺め、惜しむと動詞が二つ。動詞二つは許容範囲ではありますが、やはり句がもたついています。櫂未知子さ...
古今和歌集の「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」に登場する花とは桜のこと。「こんなのどかな春の日に、落ち着かず桜が散り続けているよ」という歌意。和歌の世界では、花といえば桜をさしました。和歌から発展した俳句でも同じように、ただ花と言えば桜をさすものとされています。 大変華やかな美しさをまとった季語ですが、...
アーネスト・ヘミングウェイは、ハードボイルド派と呼ばれます。ハードボイルドといえば探偵小説が有名ですが、文学史上は、暴力や反道徳的な内容であっても批判を加えず、客観的で簡潔な文体で描くこと。ヘミングウェイがその代表とされます。ハードボイルドとはもともと固ゆでの卵のこと。硬いのですが、卵ですから実はやわらかい。名作「武器...
俳句で使われる助詞には交換可能なものがいくつかあります。代表的なものに「の」「に」「は」など。しかし微妙に意味が変わります。どれがベストなのか、探し当てるのも俳句作りの楽しみのひとつです。私は岸本尚毅さんに以下の例を教えてもらいました。 住吉に住みなす空は花火かな 波多野爽波 住吉(地名)に長年住んできた私にとって...
短いから簡単だろうと考えて、気軽に始めてみたら難しくてわからなくなる文芸のこと。「二十週でわかる」と謳う教則本もありますが、ほとんどの人が二十年を費やしてますます道に迷って行きます。でもその人たちが不幸かといえばそうとも言えません。旅には道に迷う楽しみもあるからです。 私は俳句を「季語をめぐる冒険」と捉えています。季語...
俳句で大変よく使われる助詞。次の作品をご覧ください。 銀河系のとある酒場のヒヤシンス 橋閒石 銀河系の、酒場の、と「の」が続くことでリズムが生まれています。銀河系というとんでもなく広大な空間から、酒場へとズームインし、さらに酒場の片隅のヒヤシンスへともう一度ズームイン。実写では到底撮影できない二段ズームインを言葉の...
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