季語に対する俳人たちの論は少しずつ異なっていて、統一的な見解はありません。季語はなくても構わないとする人もいれば、必須だという人もいます。その中間に様々な条件が提示されていて、いわば百家争鳴の状態です。 あるときNHK文化センターで「まのあたり句会」というイベントがあり、私も参加しました。メンバーは今井聖さん、櫂未知子...
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超初心者向け俳句百科ハイクロペディアの記事一覧
俳句で「動く」と言われたら季語のこと。他の季語でも代替できるという意味です。主に作品を批判するときに用いられます。何故なら、季語が一句の中心と考える人びとにとって、動くとは主役が定まらない芝居のようなものだからです。では、季語が動くとは具体的にどういう句なのでしょうか。秋の終わりに、都電荒川線を吟行(外に出て俳句を作る...
俳句は「いまここ」の文学だと言われます。人は未来を思えば不安になります。過去を顧みれば後悔に苛まれます。しかし、私たちが生きているのは「いまここ」。いつか、どこかではありません。いまここを詠むことで、俳句は力強くなり迷いがなくなります。 俳人の櫂未知子さんは更に発展させて「今彼」理論を提唱しています。恋愛では過去の彼...
咲き満ちてこぼるゝ花もなかりけり 高濱虚子 季語の成分だけで一句が成り立っている句を一物仕立てと呼びます。この句は満開の桜が咲き誇っている情景。俳句の画面に写し出されているのは桜のみ。写真でいえば、満開の桜を見つけ、一花も散っていてはならず、一点の雲もない天候のもと、時間帯も最高で、色も艶もかたちも完璧で、匂うよ...
俳句を始めたばかりの方は、大抵三行に分かち書きします。 柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺 正岡子規 こんな具合。テレビ番組でも大抵三行書きです。私の担当する番組でもそうしています。しかし、厳密に言えば正しいやり方ではありません。 柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 正しくは一行縦書きです。 では何故、三行書きが流布している...
初心者の方によく訊かれるのは「○○してはいけませんか」。季語を入れなくてはいけませんか?五七五をはみ出してはいけませんか?アルファベットを使ってはいけませんか?などなど数多くの「いけませんか」が寄せられます。 きっぱりと言いますが、俳句でしてはいけないことは何一つありません。ルールはありますが、破っても結構。新たなルー...
俳句をはじめて面食らうのが「言いたいことを言ってはいけない」というルール。じゃあ、何を言えばいいの?と疑問が湧いてきます。 答え。「言う必要はありません。ただ景を描写すればいいのです」 俳句は短い詩ですからメッセージを発信するには向いていません。言おうとすると標語になったり、スローガンになったり。これでは読者の心にしみ...
いいじまはるこ 飯島晴子(1921~2000) 月光の象番にならぬかといふ 覚えておくべき名句を作者とともに紹介してゆきましょう。俳句をアートとゲームに分けるとすれば、晴子の句はまさにアート。たとえば掲句。不思議な言葉が出てきて、読者はいきなり迷宮に連れ込まれます。月光の象番って何?「ならぬか」と言ったのは誰?晴子は謎...
俳句の世界には生憎と退屈がないといわれます。出かけていて雨が降れば、雨を詠む。雪が降れば雪を詠む。折角のお花見に花が散ってしまっていたら落花を詠む。これが俳人です。普段とは違う景色を楽しみます。自分だけの景色を詠めるのでむしろ好都合です。 また、打ち合わせが早く終わってしまい、次の仕事まで30分あるような場合。中途半端...
俳句は言葉のアートです。しかし同時に句会で点を競い合うゲームでもあります。アートとしての俳句には、こうすべきというルールがありません。むしろルールを破ること、ときにはルールを変更することが重要になります。絵画の世界では画家たちが輪郭を描くのを辞めたときに印象派が誕生しました。彼らは従来の「絵とはかたちを描くもの」という...
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