俳句ではモノを詠めと言われます。秋元不死男はこう述べています。「俳句が「もの」に執着しないと崩れてしまふ、といふ実感は、近年いよいよ僕を虜にしてゐるやうです(俳句と『もの』昭和29年)」 俳句とは言葉で出来た構造物。具体的なものは、部品として非常に堅固です。机と言えば、机を。椅子と言えば椅子を誰でもが思い浮かべます。読...
超初心者向け俳句百科ハイクロペディア
超初心者向け俳句百科ハイクロペディアの記事一覧
何故か、その言葉を詠みこむと名句ができないとされる言葉があります。例えば 孫、帰り道、露天風呂、飛行機雲、観覧車、吊革 などなど。孫は可愛いのでついついべたべたの句になりがち。帰り道は言葉が幼い。家路とでもすればましになるでしょうか。露天風呂は裸を見せようという魂胆が透けて見えます。飛行機雲は所在無く、観覧車は生活の現...
誰でも知っているつもりで実は全然わかっていない季語の代表。そんなことはない、と息巻くあなた。鈴虫と松虫の声の違いが言えますか?聞けばわかっても、それを言葉でどう表現するのか?あるとき、動物物真似の江戸家小猫さんに違いを教えてもらいました。その時の名文句が「鈴虫の声は平泳ぎ」。この意味、解りますか?リリーン、リリーンと手...
季語がない作品を無季と呼びます。それに対するのが有季。俳句は有季に限るという俳人もいれば、無季も許容するという方もいて統一された見解はありません。ところで有季派の代表のように思われている高濱虚子にも無季の句があります。 祇王寺の留守の扉(とぼそ)や推せば開く 高濱虚子 祇王寺は、「平家物語」の祇王・祇女にまつわる尼...
季語に強弱があるというと驚かれるかもしれませんね。歳時記を開くと季語が見出しとなっています。 例えば「梅雨(つゆ)」の項にはまず 梅雨(つゆ)とあり続いて 梅雨(ばいう) 黴雨(ばいう) 荒梅雨 男梅雨 長梅雨 梅雨湿り 走り梅雨 迎へ梅雨 送り梅雨 戻り梅雨 青梅雨 梅雨の月 梅雨の星 梅雨雲 梅雨の雷 梅雨曇り 梅...
冬菊のまとふはおのがひかりのみ 東京帝国大学医学部出身者の「木の芽会」で俳句に親しみ、はじめは松根東洋城に、次いで「ホトトギス」の高濱虚子に師事しました。しかし、次第に虚子の提唱する客観写生に飽きたらなくなります 元々短歌に親しんでいた秋櫻子は、写生をベースにしながらも短歌的叙情を取り入れ、感動を調べによって表現しよう...
文語の動詞の活用形を示す俳句上達の呪文です。長たらしいですが、一種類だけですから頑張って覚えてしまいましょう。源氏物語であろうと、百人一首であろうと、奥の細道であろうと文語で書かれた作品はすべてこの文法に従っています。言いかえれば古典を読み解く鍵。同時に、文語で俳句を作るあなたの必須アイテムです。 未然は否定の「ず」が...
一番短い俳句は大橋裸木(おおはしらぼく1890~1933)の 陽へ病む(ひへやむ) だと言われています。わずか4音。裸木は「層雲」という自由律の結社に属し、主宰の荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)から「俳句の鬼」と呼ばれたと伝えられています。 プロフィール 蜂谷一人 1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデュー...
あるとき短い季語を探したことがあります。さすがにゼロ音の季語はありませんから、一音が最短です。 蚕 こ (春) 「かいこ」とも「こ」とも言います。繭から絹糸をとるため飼育されている昆虫です。 鵜 う (夏) 鵜飼の鵜です。 蚊 か (夏) 人を刺すあのいやな虫。 紗 しゃ(夏) 薄く軽やかに織った夏用の織物です。...
元の作品を改変して別の作品にすることを本歌取りといい、詩歌の世界で古来行われてきました。 春は曙そろそろ帰つてくれないか 櫂未知子 この句は、清少納言の枕草子「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際 少しあかりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる」を本歌取りしたもの。「春は曙」という出だしで雅びな平安貴族を連想させ、...
週間ランキング
まだデータがありません。
最近の投稿