一句に切れが二箇所あり三つの部分に分かれるものを三段切れといい、避けるべきものとされています。かつて「俳句さく咲く!」で俳優の酒井敏也さんが詠んだ句がそうでした。 長椅子や老婆三人二月尽 酒井敏也 長椅子や、老婆三人、二月尽 と三つに分かれています。季語は二月尽。歳時記には「新暦二月の終わり。短い月が慌しく過ぎ行く...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
露人ワシコフ叫びて石榴打ち落とす 三鬼は日本歯科医学専門学校卒業後1925年にシンガポールに渡り、歯科医院を開業。1928年に不況による抗日運動の高まりと自身の病のため帰国しました。異国での生活の後、30代で俳句の道に入った異色の経歴の持ち主です。俳壇の秩序の外にあったためか特定の師を持たず、自由な発想で句を作りました...
試験会場に持ち込める参考書のようなもの。俳人にとっては救世主のような存在です。吟行や席題では限られた時間に句を作り提出しなければなりません。その修羅場で解答例を自由に閲覧できるのが歳時記。パクリは許されませんが、例句からインスピレーションを受けるのは自由。試験官に見つけられても、とがめられることはありません。 さて、ど...
俳人の岸本尚毅さんは、「材料と表現の最適化」ということをおっしゃっています。これは食べものとお酒の相性のようなもの。仮に、あなたがもつ煮を食べているとします。どんなお酒を御所望ですか?まさかシャンパンではありませんよね?シャンパンは美味しいお酒ですが、もつ煮には合いません。ここは、やっぱりホッピーじゃなくちゃ。では、蕪...
名句と呼ばれる作品の中にも文法的に少々問題があるものがあります。例えば 春の鳶よりわかれては高みつつ 飯田龍太 春の鳶が寄り添ったり離れたりしながら、高く昇ってゆくよ、という内容です。「高み」の終止形は高む。高くなるという意味で「高む」を使っています。ところが辞書には「高む」は「たかくかまえる。えらぶって振舞う...
海を見ながら春日傘回すくせ す郎 いつぞやの句会に出た句です。男性には人気だったのですが、女性には意外なほど不人気。わけを尋ねると「だって、日傘を回したりしないもん」という答えが返ってきました。可愛い女を演じてほしい男性と、拒絶する女性の違いがはっきり表れたと言えそうです。とはいえ、本稿の主題はそこではありません。...
歌人の永田和宏さんはこんな短歌を作りました。 ゆきずりのカウンターにて飲むひとが倍賞千恵子であるわけがない 永田さんは京都大学入学当時からの倍賞さんのファン。当時 倍賞さんが主演した「舞妓はん」という映画の相手役 橋幸夫に嫉妬したといいます。歌を詠んで三ヵ月後、なんとその倍賞さんが番組の収録で永田さんの隣に座ることにな...
事柄のこと。俳句で詠むには不向きな題材とされています。何故か?事柄を説明しようとすると大抵の場合、十七音では足りないからです。さて先日の句会でこの句が出て、人気を集めました。 シャンパンを割りて進水桜東風(さくらごち) 福花 シャンパンのしずくがきらきらと飛び散る景が見えてきます。いい句だと思いますが、別のやり方も...
「恋は遠い日の花火ではない」というCMがありました。花火は夏の季語ですから、俳句として鑑賞することもできます。このコピーを口ずさむ一瞬、人は遠い目をする筈です。あなたにも、あの夏の、たった一度きりの、思い出がよみがえるのではないでしょうか。 恋は万葉集以来 詩歌の重要なテーマです。現代俳句では恋を詠むことは少ないかもし...
句会などに先立って出されている題。兼ねてから出されている題なので兼題と呼びます。(これに対して、その場で出される即席の題は席題)兼題は発表されると大抵ブーイングが起こります。たとえば「桜」のような王道とも呼ばれる題の場合は、名句が多すぎて超えるのが難しい。「狐火」のような虚構の季語の場合は、目にする機会がない。季語でな...
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