さいてきか・最適化【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】




俳人の岸本尚毅さんは、「材料と表現の最適化」ということをおっしゃっています。これは食べものとお酒の相性のようなもの。仮に、あなたがもつ煮を食べているとします。どんなお酒を御所望ですか?まさかシャンパンではありませんよね?シャンパンは美味しいお酒ですが、もつ煮には合いません。ここは、やっぱりホッピーじゃなくちゃ。では、蕪蒸を召し上がっていたら?やはり日本酒ですよね。できれば大吟醸といきたいところ。蕪蒸にホッピーは似合いません。これが食べ物と酒の最適化。俳句でもこれによく似たことが起こります。

 

秋風の通天閣のもつ煮かな

灯ともして通天閣の蕪蒸

 

通天閣に似合うのはどちらですか?もつ煮?それとも蕪蒸?やっぱり、もつ煮ですよね。B級グルメにもそれなりの良さがあり、上品な素材に勝ることもあります。俳句の世界でも、ホッピーが似合う素材なのか大吟醸が似合う措辞なのかを見極めることが大切です。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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