俳句は短い詩ですから、不要な言葉をいれる余裕はありません。 木の芽雨列車の音の遠くあり 武井壮 かつて「俳句さく咲く!」で武井壮さんが詠んだ句です。この句の「あり」が不要と櫂未知子さんに指摘され、次のように添削されました。 木の芽雨列車の音の遠きこと なるほど、これなら「あり」を省略してさらに「音の遠さ」を強調でき...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
季語にとらわれず、五七五からも自由な形式の俳句のこと。季語がなくてもOKなので、有季定型よりも簡単そうに見えます。ところがどっこい。作ろうとすると実に難しい。下手をすると標語のようになってしまいます。私たちが俳句を作るとき、いかに季語と定型に寄りかかっているかを再認識させられます。 この分野の名句にはこんなものがありま...
明治時代、正岡子規は俳句を新しくしようと苦心していました。それまでは言葉遊びのような句が多く、題材も決まりきったものが多かったと言われています。子規は旧派の陳腐で新しみのない句を「月並俳句」とののしり改革を目指しました。文明開化の時代ですから怒涛のように西洋の文物が流れ込んできます。旧態依然の句を作っていては時代に取り...
NHK俳句に届く投稿の多くに見られる文法的な誤り。それは下二段活用に関するものです。口語の「受ける」という動詞の終止形は、文語では「受く」となります。 え、「受く」がわからない?広辞苑で「受ける」を引いてみてください。文う・く(下二)とあります。口語の「受ける」は文語では「受く」。下二段活用すると、ちゃんと書いてあるの...
宇多喜代子さんは、自分の木を持つことを勧めています。別に庭がなくても構いません。通勤の街路樹でもいいし、公園の木でも構いません。どれか一本を自分の木と決めます。毎日眺めていると小さな変化に気づきます。新芽が出た、花が咲いた、花が散った、蝶が来た、木は生きていますから毎日少しずつ変わって行きます。その気づきが俳句です。 ...
彗星のごとく俳壇の空を通過した、と評された夭折の俳人。俳人としての活動期間が短く、作品の数も多くありませんが叙情的なきらめきは今でも多くの読者の心をとらえています。 あなたなる夜雨の葛のあなたかな 虚子はこの句についてこう述べています。「この句は作者が仙台にはるばるついて、その道途を顧み、あなたなる、まず白河あたりだろ...
兎も片耳垂るる大暑かな 芥川龍之介 うさぎも 四音 かたみみたるる 七音 たいしょかな 五音 十七よりも音数が少ないのが字足らず。掲句は十六音。大抵の俳句の本には字足らずの例として芥川の句が掲載されています。ということは、ほかの成功例が少ないのでしょう。字足らずはしらべが不安定になるため、字余りよりも難しいようです...
白牡丹といふといへども紅ほのか 高濱虚子 はくぼたんと 六音 いふといへども 七音 こうほのか 五音 この句は五七五ではなく六七五。十八音です。十七よりも音数の多い句を字余りといいます。同じ字余りでも 上五を余らせたものはよく見かけますが、中八になったのものは嫌われます。下五は少々なら音が増えてもOK。字余りならな...
バス停の手話夏雲へはばたきし 俳句を始めたばかりの方がやりがちなのが、動詞に「し」をつけるやりかた。書きし、捨てし、越えし、など何となく文語っぽくなります。ただし、意味が少々変わってしまうので注意が必要。「し」は過去の助動詞「き」の連体形ですから過去を意味します。さらに連体形ですから、本来ならば名詞が続くはず。その名詞...
今井聖さんによれば、詩の三大要素は「誇張」「比喩」「錯覚」。さらに「神経症」を加えて四大要素とも呼べるそうです。俳句も詩のひとつですから、これらの要素を含んでいるはずです。俳句イコール写生と考える人たちにとって、この定義は首を傾げるものかもしれません。しかし写生であっても誇張や比喩は十分許されるのではないでしょうか。あ...
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