さんだんぎれ・三段切れ【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】




一句に切れが二箇所あり三つの部分に分かれるものを三段切れといい、避けるべきものとされています。かつて「俳句さく咲く!」で俳優の酒井敏也さんが詠んだ句がそうでした。

長椅子や老婆三人二月尽   酒井敏也

長椅子や、老婆三人、二月尽 と三つに分かれています。季語は二月尽。歳時記には「新暦二月の終わり。短い月が慌しく過ぎ行く感慨と同時に寒さがゆるみ、春本番に向かうほっとした気分もただよう」と記されています。櫂未知子さんは次のように添削しました。

長椅子に嫗三人(おうなみたり)や二月尽

長椅子やの「や」を「に」に変えて切れをなくします。老婆三人は風情がなさすぎですので、「おうなみたり」としこの後に「や」を入れて切ります。これで言葉の格調があがるとともに、切れが一つとなり欠点が解消されました。ちなみに老婆を嫗と言い換えるような場合には類語辞典が役立ちます。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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