枯蘆やだまし絵めきて鳥の数 岩田由美「雲なつかし(2017)ふらんす堂」 水辺に蘆が枯れています。向こうから日がさしていれば、蘆のシルエット。黒い筋が垂直に幾重にも重なります。蘆の奥には湖があって水鳥たちが泳いでいます。水平に動くのが鳥たちの影。垂直の影と水平に移動する影が重なって、複雑な模様を作り出します。それが作者...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
牡蠣殻の残る晩餐最中なり 中原道夫「一夜劇(2016)フランス堂 パリ同時多発テロとは、二〇一五年十一月十三日にパリ市街と郊外のサン・ドニ地区の商業施設でイスラム国の先頭員と見られる複数のグループによる銃撃、および爆発により死者一三〇名、負傷者三百名以上を生んだテロ事件のこと。カフェ、ピザ屋、カンボジア料理店、レス...
浮き寝して仲間に入れて貰ひけり 西村麒麟「鴨(2017)文學の森」 浮き寝鳥とは、水に浮いたまま眠っている鳥の総称。鴨、かいつぶり、ゆりかもめ、おしどりなどがそれにあたります。浮き寝の仲間にいれてもらうというのですから、作者自身が鳥になっているのでしょう。鳥を見て詠んだ句ではなく、鳥になって詠んだ句。対象になりきる...
服喪かな全土凍てつく燈を落とし 中原道夫「一夜劇(2016)ふらんす堂」 十一月十五日パリ・シャルル・ド・ゴール空港着と言う前書きがついています。パリの緊迫した状態を告げる掲句。実は同時多発テロが起きた直後のパリ入りだったのです。「主謀者の潜んでいた隠れ家から然程離れてゐない所に私の宿はあり、その距離から當然緊張は強...
ア行 ア あおじゃしん「青写真(冬)生活」 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/8685 イ いちようき「一葉忌(冬)」 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/853 いつ「凍つ(冬)」 https://jhaiku.com/ha...
イブノーシンセデスバファリン一葉忌 櫂未知子「カムイ(2017)ふらんす堂」 もの尽くしの俳句です。イブ、ノーシン、セデス、バファリン、すべて頭痛薬。井上ひさしの戯曲に「頭痛肩こり樋口一葉」があります。掲句はここから着想を得たのでしょうか。実際、一葉は頭痛もちだったようで、それには理由があったとのこと。箱枕の使用。日本...
餅花に集まるごとく相席す 津川絵理子「夜の水平線(2020)ふらんす堂」 餅花とは柳などの枝に、小さく丸めた紅白の餅をつけて神棚の近くに飾るもの。近年では、家に飾る方は少ないでしょうが、商店街や和食の店の飾りとしてよく目にします。掲句、相席ですから和食店ではないでしょうか。正月で混み合っているため、相席になった。その...
由良の門にゆたかに浪もお降りも 仙田洋子「はばたき(2019)角川書店」 由良の門とは丹後国(現在の京都府宮津市)を流れる由良川の河口。潮の流れが激しいところとして知られています。百人一首に「由良の門を渡る舟人かぢをたえゆくへも知らぬ恋の道かな 曽禰好忠」という歌があるので、ご存知の方も多いでしょう。こちらの歌の大意は...
蓬莱やプラスチックは腐らない 池田澄子「此処(2020)朔出版」 蓬莱とは、中国の伝説に登場する仙人が住む不老不死の地のこと。これをかたどった新年の飾りも同じ名で呼ばれます。歳時記によれば「三方の上に紙、羊歯(しだ)、昆布、ゆずりはを敷き、その上に米、橙(だいだい)、蜜柑、柚子、橘(たちばな)、榧(かや)、かちぐり...
女湯に天井つづく初湯かな 小川軽舟「朝晩(2019)ふらんす堂 銭湯でしょうかホテルの大浴場でしょうか。男湯と女湯はこの句のように天井がつながっています。ですから声が筒抜け。その上、風呂は声が響きます。カラオケのない昔は歌を練習する場所と言えば風呂でした。筒抜けで声が響くのですから、やろうと思えば男湯と女湯で会話もで...
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