いちようき「一葉忌(冬)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】

イブノーシンセデスバファリン一葉忌 櫂未知子「カムイ(2017)ふらんす堂」

もの尽くしの俳句です。イブ、ノーシン、セデス、バファリン、すべて頭痛薬。井上ひさしの戯曲に「頭痛肩こり樋口一葉」があります。掲句はここから着想を得たのでしょうか。実際、一葉は頭痛もちだったようで、それには理由があったとのこと。箱枕の使用。日本髪をくずさないように用いた昔の枕です。首の筋肉が緊張するため頭痛の原因となったかもしれません。文机。畳に置かれた文机を前かがみで使用するとこれも頭痛の原因となります。弱視。物書きにはつらい症状です。細かい字を見ようとして目をこらすと、頭が痛くなります。今なら頭痛薬が効果を発揮したでしょうが、当時は本当につらかったでしょう。お気の毒な樋口一葉です。さて、もの尽くしの句は「ばか、はしら、かき、はまぐりや春の雪 久保田万太郎」などの先行例があります。意外に難しいのが季語の置き方。万太郎句は春の雪が絶妙ですが、同じように掲句の一葉忌も動きません。ちなみに11月23日。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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