かるた「歌留多(新年)」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】

くろかみのうねりをひろふかるたかな 恩田侑布子「夢洗ひ(2016)角川書店」

くろかみのうねりとは、歌留多の図柄でしょうか。百人一首には詠み人の肖像が描かれていて、紫式部、清少納言、和泉式部など女性の歌人は黒髪をうねらせています。歌留多を取るのではなく、黒髪のうねりを拾う。このレトリックが秀逸。うねりという言葉のおかげで、海原のような広がりを想像することができます。髪はおんなの命と昔から言われてきました。それに手を触れるのは、本来恋人や夫だけに許されたこと。掲句からエロチックな印象を受けるのは、黒髪の持つ艶や輝き、匂いや手触りを想起するからでしょう。すべてひらがなという表記も柔らかな印象を醸し出しています。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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