のうりょう「納涼(夏)生活」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】




納涼古書市哲学十把一絡げ   西村和子「わが桜(2020.7.25)」より

納涼が季語ですが、ここでは「納涼古書市」と複合語になって登場します。神田神保町あたりで本当に催されていそうな行事。そこで哲学書がまとめて売られているという訳です。十把一絡げは「どれもこれもあまり価値のないものとして、多数をひとまとめに扱うこと。また何もかも一緒くたとして扱うこと」と広辞苑に。ぞんざいに扱われる哲学書も気の毒でが、よく見ると哲学書ではなく哲学となっています。そうなるとますますお気の毒。あの本もこの本も、ではなくソクラテスもプラトンも、キルケゴールもヘーゲルもといったところでしょうか。大先生たちには申し訳ない限りですが、哲学は少々暑苦しいもの。納涼だからミステリーや怪奇小説に人気が集まっているのかも知れません。

最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」(夏)

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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