- 富士山や遠近人の汗拭ひ
- 梅の風俳諧國にさかむなり
- 海苔若和布汐干のけふぞ草のはら
- 夕哉月を咲分はなのくも
- 初鰹またじとおもへば蓼の露
- 戦けりほたる瀬田より参合
- 峠凉し沖の小島のみゆ泊り
- 富士山やかのこ白むく土用干
- 鬼灯や入日をひたす水のもの
- 茶の花や利休が目にはよしの山
- 凩も筆捨にけり松のいろ
- 小僧来り上野は谷中の初櫻
- 目には青葉山郭公はつ鰹
- 富士は扇汗は清見が關なれや
- 六月やおはり初物ふじの雪
- 武蔵野やそれ釋尊の胸の月
- 武蔵野や月宮殿の大廣間
- 夕立や虹のから橋月は山
- 廻廊や紅葉の燭鹿の番
- 入船やいなさそよぎて秋の風
- 宿の春何もなきこそ何もあれ
- 市に入てしばし心を師走哉
- 春もはや山吹しろく苣苦し
- 芭蕉いづれ根笹に霜の花盛
- 年に一夜王子の狐見にゆかん
- 春も早山吹白く苣苦し
- 雪なだれ妻は炉辺に居眠れり
- 何となくそのきさらぎの前のかほ
- 目には青葉山ほとゝぎすはつ鰹
- 棉の花たま/\蘭に似たるかな
- 三日月に必ず近き星一つ
- 古足袋や身程の宿の衣配り
山口素堂 プロフィール
山口 素堂(やまぐち そどう、寛永19年5月5日(1642年6月1日) - 享保元年8月15日(1716年9月30日))