ぎゃくせつ・逆接【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】

いい俳句には驚きがあると言われます。次の一句はいかがでしょう。

春星をことごとく得しその瞑さ   藤田湘子

春星をことごとく得たのですから明るい筈。それを作者は瞑いと言っています。これが逆接。予想と反対のことばが表れ、心地よく裏切られます。明るい筈なのに、何故瞑いのか、読者はその理由を考えます。

春は旅立ちの季節。春の星は遠くを目指す旅人に方位を教えてくれるもの。明るい筈の星を暗く感じるのは旅人が心に愁いを抱えているから。

もしも「その瞑さ」ではなく「その明るさ」であれば、真っ直ぐに読める反面想像は膨らみません。逆接を使って読者に謎を仕掛ける。こちらも髙柳克弘さんがNHK俳句テキストに紹介した逆説の例句です。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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