ぎもんけい・疑問形【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】




蝶ふれしところよりわれくづるるか   高柳克弘

俳句ではなるべく断定したほうがよいと言われます。きっぱりと歯切れがよくなりますし、力強さが増します。掲句は髙柳克弘さんが俳句の疑問形の例として「NHK俳句テキスト」に掲載したもの。こんな風に虚の世界を詠む場合は、危うさや不安定さを表現するために疑問形を用いることがあります。普通に考えれば、蝶が触れたところから私が崩れてゆく筈はありません。しかし、あえて疑問形を用いて、蝶が触れただけで壊れてしまいそうな自我の危うさを表現しているのです。ただし、ちょっと高度な技法。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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