- 出でて耕す囚人に鳥渡りけり
- 工女等に遅日めぐれる機械かな
- 曝書しばし雲遠く見て休らひぬ
- 蛇打つて森の暗さを逃れ出し
- わが影や冬の夜道を面伏せて
- 頬冠りが淋しかり人田植にも
- たゞ蟻の為すまゝに蝶の衰へる
- 朝寒のこの道を行くつとめ哉
- 市に暮るゝ師走の人の眉太し
- 而して蕃茄の酸味口にあり
- トマト一鉢に露台(バルコニー)の色を集めけり
- 日輪は筏にそそぎ牡蠣育つ
- 秋晴れや海のほとりにかえりけり
- 茴香の花の匂ひや梅雨曇
嶋田青峰 プロフィール
嶋田 青峰(しまだ せいほう、1882年3月8日 - 1944年5月31日)