ハンモック「(夏)生活」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】




木を選ぶことから始めハンモック  佐藤郁良「しなてるや(2019)ふらんす堂」

ハンモックと言えば乗ろうとした途端、くるりと一回転して見事落下した経験しかない私。アウトドアでハンモックを楽しむ時の心得を調べてみました。まず木を選びます。掲句のいう通りですね。条件は木の間が十分開けていること。大体の目安は4メートル。かなりの広さが必要です。高さの目安は2メートル。木の太さも重要です。大人が両手を広げて幹を抱えたとき、両手の指がくっつかない程度の太さ。これは結構太いですよ。言うまでもないことですが、枯れたり腐ったりしている木は除外します。地面の状態にも注意。石などがあると落ちた時怪我をしますからね。落下に備えて初めは低いところに吊ってみること。乗る前に一度足を地面につけたまま体重をかけ、ロープがしっかりと結ばれているかを確認します。何事も準備が大切なんですね。

掲句はハンモックの句なのに、吊る前の作業を詠んでいます。そこが新鮮。どの場面を詠むかで作品の評価が変わります。誰もが詠みたがるシーンを捨て、見逃しがちなところ目を向けたいもの。わかっていても、なかなか出来ませんけどね。

最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」(夏)

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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