響きが美しくないからでしょうか、俳句では濁音が嫌われます。助詞の「が」や「で」が出てきたら要注意。「私が」のような主格の「が」は大抵の場合「の」に置き換えられます。上段の原作と下段の味わいを比べて見て下さい。
猫の子のもらはれて行く袂(たもと)かな 久保より江
←猫の子がもらはれて行く袂かな
入学の子のなにもかも釘に吊る 森賀まり
←入学の子がなにもかも釘に吊る
同じように場所や手段、理由などを示す「で」は大抵「に」に置き換えることが出来ます。例えば「鉛筆で」というところを「鉛筆に」と言い換えてみてください。あなたの句の評価がちょっとだけ高まるはずです。
花冷や鉛筆に描く頬の影 一人
←花冷や鉛筆で描く頬の影
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」