けいようしのかつよう 形容詞の活用【ワンランク上の俳句百科 新ハイクロペディア/蜂谷一人】




赤い、楽しい、のような言葉を形容詞と言います。文語で言えば「赤し「楽し」となります。

では問題です。「楽し」に切字の「けり」をつけてください。

答え 楽しけり

ブー!間違い。正しくは「楽しかりけり」。番組に寄せられる投句でも多くの方が間違えています。では「赤し」に「けり」をつけると?

答え 赤かりけり

ピンポーン!正解です。このように、形容詞に「けり」をつける時は「かりけり」としなければならないのです。ところで、形容詞の活用には「ク活用」「シク活用」の二種類があります。赤しはク活用。楽しはシク活用。どうやって見分けるかと言えば、「なる」をつけてみます。「赤くなる」「楽しくなる」。ね、わかったでしょう。「赤クなる」だからク活用。「楽シクなる」だからシク活用です。では「悲し」は?「悲シクなる」だからシク活用。「なし」は?「なクなる」だからク活用。

ク活用は 赤く(未然) 赤く(連用) 赤し(終止) 赤き(連体) 赤けれ(已然)と変化します。く く し き けれ、という訳です。一方、「楽し」は 楽しく(未然) 楽しく(連用) 楽し(終止) 楽しき(連体) 楽しけれ(已然)と変化しますから しく しく し しき しけれ、ですね!

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

 

 

 

ワンランク上の俳句百科 新ハイクロペディア

 






おすすめの記事