ていけい・定型【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】

俳句の五七五の形式を定型と呼びます。そもそも俳句は俳諧(連句)から始まりました。連句ではまず五七五の発句を立て、それに別の人が七七をつけます。それに五七五をつけ、また七七とつないでゆきます。多くの人が参加してひとつの作品を作り上げる面白さがあり、室町から江戸にかけて流行しました。この俳諧の発句が独立したものが俳句。だから俳句は五七五なのです。

このリズムは日本人の生活にしみついています。今でもツイッターには次のような表現が出てきます。「思い出す前に忘れてしまったよ」「コーヒーを淹れてくれればお小遣い」知らず知らずのうちに五七五になっています。

折角の機会なのでこの五七五を分析してみましょう。お父さんが大好きな歌を思い出してください。演歌や民謡は大抵四拍子。ゆっくりと手を打つリズムです。四拍子の一小節は八分音符八つで出来ています。五七五にあてはめると次のようになります。

 タタタタタ
 タタタタタタタ
 タタタタタ

この休符 がポイントです。八分休符といい、長さは八分音符と同じ。しかし休符ですから音を出しません。お酒を飲みながら手拍子を打つと、手を摺り合わせる人がいます。その間(ま)こそ休符です。五拍歌って三拍休み。この間に手を摺ります。七拍歌って1拍休み。ここでは息継ぎ。最後に五拍歌って3拍休み、手を摺ります。

このリズムが心地いいのは実際に歌ってみるとわかります。本当は四拍子で八分音符八つずつなのですが、休符が入るから五七五。休符が入らないと息継ぎや手摺りができないのです。

俳句は詩歌の一種です。歌の原義は「訴える」。声に出して思いを訴えるのが歌。声に出すからには手拍子や息継ぎも必要になるでしょう。歌が朗誦された時代、このリズムは当たり前のものでした。短歌は五七五七七、長歌は五七五七の繰り返しの最後に七をつけたもの。日本の詩歌はすべてといっていいくらい、五七の音数を基本にしています。俳句が五七五の訳、納得していただけましたか?

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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