- うぐひすの聲に起行雀かな
- 昼舟に乗るやふしみの桃の花
- 聞までは二階にねたりほとゝぎす
- 五日迄水すみかねるあやめかな
- 五月雨の色やよど川大和川
- 宮城野の萩や夏より秋の花
- 紺菊も色に呼出す九日かな
- 市中や木の葉も落ずふじ颪
- 木枯の根にすがり付檜皮かな
- 道くだり拾ひあつめて案山子かな
- 白桃やしづくも落ず水の色
- 菊の気味ふかき境や藪の中
- きさかたや唐をうしろに夏構
- 手に足に玉巻く葛や九折
- 行く水の跡や片よる菱の花
- 蜘の子の柱伝ひや縄簾
- 禰宜呼びに行かば日の入る夏神楽
- ぎんなんも落るや神の旅支度
- 米入るゝ我器なり種瓢
- から風の吹きからしたる水田かな
天野桃隣 プロフィール
天野 桃隣(あまの とうりん、1639年(寛永16年)- 1720年1月18日(享保4年12月9日))