青芝に美脚投げ出しラクロス部 西村和子「わが桜(2020角川書店」
ラクロスとはホッケーに似た球技の一種。10名編成の2チームがラクロスと呼ばれるスティックでゴム製のボールを打ち、ゴールを狙います。俳句にラクロスが出てきただけでも驚きですが、美脚となると頭がくらくらします。しかも、青芝に投げ出しています。これはもう女子チームのことでしょう。とりあえずそう断言しておきます。青芝は青春の象徴。この句は、青芝、美脚、ラクロスと三つも若さを表す言葉が入っています。しかし、決してくどくは感じません。芝の色と日焼けした脚の色。この組み合わせには、人を思い出に誘う力があります。誰もが一度だけ通り、あとは振り返ることしか許されない奇跡的な時代。それが青春。青春性にあふれた句には、抗いがたい魅力があります。
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」