紫陽花のいま孵化したてなる青さ 遠藤由樹子「寝息と梟(2021)朔出版」
この句集は2021年5月1日発行。出たばかりの句集を送っていただきました。紫陽花の青は、はつなつの瑞々しさを感じさせる色。それを「孵化したばかり」と表現しました。孵化は卵がかえることですから、鳥の雛を想像します。青い鳥。幸せを運んできてくれる鳥です。
そういえば、紫陽花の花びらは(正確には萼ですが)風車の羽のようなかたちをしています。風を待っているのです。孵化したばかりの青い鳥が飛び立つ風を待っている。何もかも瑞々しく、未来への希望を感じさせる一句です。
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」