うめ「梅(春)植物」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】




梅白し死者のログインパスワード  折勝家鴨「ログインパスワード(2017)ふらんす堂」

ログインパスワード。近頃よく耳にする言葉です。ネット時代の新語で、特にインターネットバンキングのログオン時に使用するパスワードをこう呼ぶようです。知らないと銀行口座にアクセスできません。

この句はどなたか身内の方が亡くなった際のことと読みました。悲しいけれど、やらなければならないことが待っています。遺産の整理です。実はうちの両親の時も大変でした。通帳のありかがわからない。印鑑をどこにしまっているのかわからない。カードがあっても暗証番号がわからない。以前のことでネットは利用していませんでしたが、今ならばさらに大変。この「ログインパスワード」がわからなければ何にも出来ないのです。

掲句では「梅白し」という季語が、きっぱりとした故人の生き方を象徴しています。きちんと口座を管理し全てが行き届いている。それなのにパスワードだけがないのかも知れません。万葉の昔から歌われてきた梅とログインパスワードの取り合わせが斬新です。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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