しもにだんかつよう・下二段活用【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】

NHK俳句に届く投稿の多くに見られる文法的な誤り。それは下二段活用に関するものです。口語の「受ける」という動詞の終止形は、文語では「受く」となります。

え、「受く」がわからない?広辞苑で「受ける」を引いてみてください。文う・く(下二)とあります。口語の「受ける」は文語では「受く」。下二段活用すると、ちゃんと書いてあるのです。

下に名詞が続く場合、口語では「受ける(こと)」となりますが、文語では「受くる(こと)」。この「受ける」と「受くる」をごっちゃにしている方が実に多いのです。下二段活用をマスターすれば、ミスは大幅に減るはず。素晴らしい内容の句でも、文法的に誤った句は取りづらいというのが選者の本音です。是非気をつけて下さい。

否定する場合、口語では 受け(ない)、文語では 受け(ず)
連用形は        受け(ます)      受け(けり)
終止形は        受ける         受く
名詞に係る連体形は   受ける(こと)     受くる(こと)
「ば」がつくかたちは  受けれ(ば)      受くれ(ば)
命令形は        受け(よ)       受け(よ)

口語と文語がよく似ているのに、ちょっとだけ違うところが、ややこしいのです。

ちなみに下二段活用の動詞は「受く」の他にも「掛く」「告ぐ」「捨つ」など色々あります。口語の終止形は「掛けるkakeru 」「告げるtsugeru 」「捨てるsuteru 」など、いずれの文末も「eru」となります。

さて難しい下二段活用の中でも、ウルトラ難しい例をご紹介しましょう。
口語「植える」の文語は「植う」。その連用形は?「植え」ではなく「植ゑ(けり)」。見たことのない「ゑ」が出てきました。これは「わ行」の「ゑ」。
「わ行」の下二段活用は「植う」「飢う」「据う」の三つしかありません。もしもあなたがクイズ王を目指すなら、覚えておいて損はないでしょう。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

おすすめの記事