有季とは季語を入れること。定型とは五七五のこと。定型がスーツだとしたら有季はネクタイのようなもの。スーツさえ着ていればシャツの胸をはだけても様になりますが、ネクタイを締めると俄然グレードアップします。三ツ星のレストラン、五つ星のホテルでも臆することはありません。ネイビーのスーツに青系のタイならシックな装い。ボルドーなら...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
上五が名詞、下五も名詞の句を山本山と呼ぶことがあります。「上から読んでも山本山、下から読んでも山本山」のコマーシャルでおなじみですよね。覚えやすくて素敵なネーミングなのですが、俳句では要注意。中七が上につくのか、下につくのかわかりにくいためお勧めできないかたちとなります。次の句は酒井敏也さんが「俳句さく咲く!」の勉強会...
冬河に新聞全紙浸り浮く いわゆる花鳥諷詠の情緒とは無縁の作品。冬の寒々しい河に、新聞紙が浮かんでいます。徐々に水がしみて重くなってゆきますが、全紙に染みこむにはまだ時間がかかりそう。沈んで姿を消すこともできず、無様な姿をさらしています。自画像と読むこともできますが、私はあくまで実際の景として読みたいと思います。この身も...
田一枚植ゑて立ち去る柳かな 松尾芭蕉 「奥の細道」に登場する一句。季語は田植えですが、柳が別れに彩を添えています。しかし、柳でなくても他の木でもかまわないのでは。そう思ったあなた、いい勘をしています。何か深い事情がありそうですよね。 漂泊の歌人として知られる西行の歌に、「道のべに清水流るゝ柳かげしばしとてこそ立ちど...
「や」は何につくのか?一番多いのが名詞。 菜の花や月は東に日は西に 蕪村 しかし、それだけではありません。 火を焚くや枯野の沖を誰か過ぐ 能村登四郎 この場合は焚くという動詞についています。 うららかや空より青き流れあり 阿部みどり女 この句では「うららか」という形容動詞に。え?何にでもつくの?その通り。「や」...
一句の中に二つの切字を用いることはタブーとされています。季重なりを許容する俳人はかなりいらっしゃいますが、「やけり」「やかな」を許容する方には会ったことがありません。切字は感動の中心を示しますから、二つ用いると焦点がぼやけてしまいます。ところが何事にも例外があるものです。 降る雪や明治は遠くなりにけり 中村草田男 ...
テレビCMを思い出してください。大抵の場合1カットではありません。複数のカットをつないでいる筈です。この映像のつなぎ目を編集点と呼びます。切字の「や」とは何ですかと質問されたら、私は「編集点のようなもの」と答えることにしています。名句を例にとってみましょう。 菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村 この句の切れ字は、「...
日本の伝統芸能には型があります。茶、活花、能、歌舞伎。型に習熟し自分のものにした上で、今度はそれをはみ出してゆく。名人といわれる人たちはそれを実践してきました。当然 俳句にも型があります。最も基本的な型がこれ。 四文字の季語+や+中七+名詞 名月や男がつくる手打ちそば 森澄男 俳人 藤田湘子が「新版 20週俳句入門...
俳句で命令形を使う場合 かすかに恋の匂いがします。通常命令形を使うのは、職場。軍隊がその代表でしょう。一方 俳句は詩の一型式。職場の言葉は似合いません。それなのに、敢えて命令形を使うとすれば 激情に駆られる場合。男女の間にこそふさわしいと思いませんか。 暖炉昏し壺の椿を投げ入れよ 三橋鷹女 女性から 暖炉が暗いのは、あ...
俳句ではモノを詠めと言われます。秋元不死男はこう述べています。「俳句が「もの」に執着しないと崩れてしまふ、といふ実感は、近年いよいよ僕を虜にしてゐるやうです(俳句と『もの』昭和29年)」 俳句とは言葉で出来た構造物。具体的なものは、部品として非常に堅固です。机と言えば、机を。椅子と言えば椅子を誰でもが思い浮かべます。読...
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