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大須賀乙字の俳句一覧
春
- 馬を放つ日のゆくりなう冴え返る
未分類
- 凩に木の股童子泣く夜かな
- 寒中の毛衣磨れば火の走る
- 干足袋の日南(ひなた)に氷る寒さかな
- 漆山染まりて鮎の落ちにけり
- 火遊びの我れ一人ゐしは枯野かな
- 砂丘はなるる月のはやさよ月見草
- 雁鳴いて大粒な雨落しけり
- 野遊びや肘つく草の日の匂い
- 夜雨しばしば照り極つて秋近し
- 妙高の雲動かねど秋の風
- 浪白う干潟に消ゆる秋日和
- 寒雁の声岬風に消えにけり
- 落葉掻くは亡き母の後ろ姿かな
- 忘れ霜すかんぽ既に甘きかな
- 森うしろ染めて暮るゝに囀れる
- 落雷の光海に牧場一目かな
- 落蛾墨をひいて手紙をよごしけり
- 水際まで闇迫る月見草に立つ
- 槻風の山ゆ新涼到りけり
- 船底の閼迦に三日月光りけり
- 書き物も端居にぬれつ天の川
- 荷馬返せば急に更けたり虫の宿
- 今朝秋のよべを惜みし灯かな
- 巣鴉をゆさぶつてゐる木樵かな
- 山雲を谿に呼ぶなり閑古鳥
- 木の股に木の葉と堪えふ秋の水
大須賀乙字 プロフィール
大須賀 乙字(おおすが おつじ、1881年7月29日 - 1920年1月20日)