贔屓に見入る(ひいきにみゐる)。何のことかわかりますか?中岡毅雄さんが「NHK俳句 俳句文法心得帳」で紹介している上一段活用の動詞の覚え方です。
ひ 干る
い 射る 鋳る
き 着る
に 似る 煮る
み 見る 試みる かへりみる
ゐ 居る 率る 用ゐる
よく出来た覚え方ですよね。厳密に言うと「贔屓に見入る」は「ひいきにみいる」。見入るの「い」を「ゐ」に変えてしまっているのですが、あくまで暗記法ですから固いことは言わないことにしましょう。「見る」を例にとると
見ず(未然) 見て(連用) 見る(終止) 見ること(連体) 見れば(已然) 見よ(命令)と変化します。「試みる」なら同じように
試みず 試みて 試みる 試みること 試みれば 試みよ
ともに、み み みる みる みれ みよ と変化します。
どちらもマ行上一段活用。ローマ字で書けば
mi mi miru miru mire miyo
このmをkに変えれば
ki ki kiru kiru kire kiyo 着(ず) 着(て) 着る 着る(こと) 着れ(ば) 着よ
hに変えれば
hi hi hiru hiru hire hiyo 干(ず) 干(て) 干る 干る(こと) 干れ(ば) 干よ
ね、頭文字を変えるだけで、どの上一段動詞にも応用できるんです。基本形は
i i iru iru ire iyo これさえ覚えておけばOK!では、本当に身についたかどうか質問です。「煮る」の活用は?正解は
ni ni niru niru nire niyo 煮(ず) 煮(て) 煮る 煮る(こと) 煮れ(ば) 煮よ
基本形の頭にnをつければいいんですよね。簡単。
ところで、上一段活用は口語でも文語でも同じ。ですから特に意識しなくても間違えることが少ない活用です。ところが、次に紹介する上二段活用は注意が必要。口語と文語が少々異なっているからです。
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