目次
石橋秀野の俳句一覧
春
未分類
- あたたかやむかし一文菓子うまし
- しまひ花火窓流行歌ぶちまけて
- とびからす病者に啼いて梅雨寒し
- ひとかゝへ濯ぐより蟬鳴きはじめ
- ひるの蚊の打ち得ぬまでになりにけり
- ゆく秋やふくみて水のやはらかき
- 下萌やあしたゆふべを端折着
- 傘さげて使ひあるきや曼珠沙華
- 卯の花腐(くだ)し寢嵩(ねかさ)うすれてゆくばかり
- 大夕燒惡寒(をかん)に鳴らす齒二十枚
- 大夕燒消えなば夫(つま)の歸るべし
- 大寒の殘る夕日を市の中
- 妻なしに似て四十なる白絣
- 新じやがや子をすかす喉すでに嗄れ
- 柳絮(りうじよ)とぶや夜に日に咳いてあはれなり
- 梅雨じめり痩せ骨三月(みつき)よこたへて
- 梅雨の雷子にタン壺をあてがはれ
- 梳(くしけづ)る必死の指に梅雨晴間
- 汗と涙こも?黄黄こぼし合掌す
- 火のやうな月の出花火打ち終る
- 烏賊(いか)食(は)めば隠岐や吹雪と暮るるらん
- 熱出しの廿日あまりに花了る
- 片よせて宵寢の雨戸夜の秋
- 病み呆(ほ)けて泣けば卯の花腐(くだ)しかな
- 短夜の看とり給ふも縁(えにし)かな
- 立雛にすがるの腰のなかりけり
- 緑なす松や金欲し命欲し
- 芋煮えてひもじきままの子の寝顔
- 菊火照り英霊かへる街せはし
- 蟬時雨子は担送車に追ひつけず
- 蟬時雨子は擔送車に追ひつけず
- 衣更鼻たれ餓鬼のよく育つ
- 裸子をひとり得しのみ禮拜す
- 西日照りいのち無惨にありにけり
- 遠花火とりすがれるは夕布團
- 門柳鬼ごとあそび暮れて猶
- 風花(かぜはな)や傘に澁刷(は)く小手のさき
- 鮎打つや石見(いはみ)も果ての山幾つ
- 曼珠沙華消えてしまひし野面かな
- 短夜の看護り給ふも縁(えにし)かな
- 蝉時雨子は担送車に追ひつけず
- 星降るや秋刀魚の脂燃えたぎる
- 薫風に膝たゞすさへ夢なれや
- 鐘鳴れば秋はなやかに傘のうち
石橋秀野 プロフィール
石橋 秀野(いしばし ひでの、1909年2月19日-1947年9月26日)