- どつと笑ひしがわれには病める母ありけり
- シヤツ雑草にぶつかけておく
- 冬菊や英霊に母としてすわる
- 妻よさびしき顔あげて見るか夕空
- 母に代わりて米磨ぎしより二度の三日月
- 妻よさびしき顔あげて見るか夕空
- あな東京が燃えているくらがりの虫
- 三日月があった銀座で酔うてきました
- 戦争をやめろと叫べない叫びをあげている舞台だ
- きゃつらの戦争で見ろ黒い煙吐く煙突だぞ
- 大砲が巨きな口あけて俺にむいている初刷
- 囚人われに監獄のねじり花やさし
- たたかいはおわりぬしんと夏の山
- 妻よ抱かれてふるさとの山へ帰ろうよ
- わが庭に声ごえ高し冬木の子ら
- 義民いまは神にして冬の山はあり
- 霜の菊の咲きいずるなおも一輪二輪
- ぼんおんと鳴る鐘きいて畑をしまいけり
栗林一石路 プロフィール
栗林 一石路(くりばやし いっせきろ、1894年(明治27年)10月14日 - 1961年(昭和36年)5月25日)