助詞は地雷です。句会に登場する多くの句で助詞が安易に使われています。中でも場所を示す「に」と類例を暗示する「も」は大変危険。先日の句会でこんな句がありました。 大寒もただゆるゆると神田川 いかがでしょう。「大寒も」の「も」が私には問題のように思われました。作者に「も」を使った理由を尋ねると、「大寒の日も他の日も神田川が...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
硯には蝌蚪千匹を放つ墨 一人 読めましたか?蝌蚪は「かと」と読みます。おたまじゃくしのこと。硯にたっぷりと墨をすります。硯の海に墨汁が満々とたまります。真っ黒なおたまじゃくしを描いてみます。描いても描いても墨はまだまだ残っています。この分なら千匹くらい描けそうだ、そんな気分の一句です。 さて俳句の世界にはこうした難読...
草田男は、はじめ歌人・斎藤茂吉の実相観入説を信奉。実相観入とは客観写生を重んじながら、そこに自分の生命を深々と注ぎ込むことです。歌作りの方法論でありながら、自己の救済につながるという難解な概念ですが、ヘルダーリンやドストエフスキーをよく読み、ニーチェに傾倒した草田男には、ぴったりの思想だったのかも知れません。 中国福建...
少年や六十年後の春の如し 耕衣 この句は目の前の景を詠んだものではありません。60年は干支が一巡する時間。還暦といわれるように、時間が振り出しに戻ります。赤いちゃんちゃんこを着て祝う習慣があるように、老人が赤ん坊に戻る時間です。この句の鑑賞は難しいのですが、私は生命の循環を讃える作品と読みました。作者は禅の精神を俳...
凡そ天下に去来程の小さき墓に参りけり 高濱虚子 およそてんかにきょらいほどのちいさきはかにまいりけり。七・十三・五の25音。定型を旨とする伝統派の中では異例の長さと言えるでしょう。去来は芭蕉の高弟の一人。墓参りが秋の季語。去来の別荘、京都の落柿舎を訪ねた際の句と言われています。虚子は不思議な人で、有季定型を標榜しな...
私が知る限り最も長い季語は「童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日(どうていせいまりあむげんざいのおんやどりのいわいび)」何と26音。カトリックでマリアがイエスを身ごもったとされる祝日で12月8日にあたります。この長い季語を詠んだ句がこちら。 童貞聖マリア無原罪の御孕りの祝日日和とはなれり 夏井いつき プロフィール 蜂谷...
季語の成分だけをもとに一句を構成するのが一物仕立て。一方、季語と直接関係のない言葉を組み合わせて作ることを、取り合わせと言います。実際の句作の場合には取り合わせが圧倒的に多いのです。多分九割くらい。「え、そんなに?歳時記には取り合わせの句は少ないけど」と驚かれるかもしれませんね。でも、そうなんです。歳時記に一物仕立てが...
取られなかった句は、寂しい存在です。句会では点の入った句の作者だけが名乗ることが出来、選評を聞くことが出来ます。無点の作者は、何故選ばれなかったのか尋ねるチャンスがありません。理由を聞くことが出来れば改善する方法も見出せますが、スルーされてしまうとどこが悪かったのか いつまでもわかりません。そこで、句会の終了後 先輩方...
あなたの素晴らしい俳句の価値を決して理解しようとしない人たちのこと。大抵の場合、あなたが一番自信のある句は、読者の目に止まらずスルーされてしまいます。句会であれば無点。句集であれば黙殺。賞であれば落選です。しかし、あなたの句は素晴らしく、読者には見る目がないのですから、落ち込む必要はありません。あのゴッホですら生前には...
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