せいしゅん 青春【ワンランク上の俳句百科 新ハイクロペディア/蜂谷一人】




三人の一人は無言ソーダ水   西村和子

季語には、年代を表すものがあります。掲句はさしずめその典型。青春性を強く帯びた季語が用いられています。

最近あまり見かけなくなったソーダ水。コーラやジンジャーエールに舞台を奪われています。ですからこの句を見ると、今のことではなく昭和の話かなと思います。ここからは私の妄想です。きっと三人のうち二人は友達。一人はデートの相手。一対一のデートが気恥ずかしいので友達に付き添いを頼んだのです。高校生にしては幼いから中学生。良くしゃべっている二人は男性で友達同士、黙っている一人が女性。それとも二人が女性で一人が男性?いや、違うな。やっぱり二人が男性。こんな風に妄想が膨らむのは季語がソーダ水だから。青春の飲み物だからです。ビールだと、いきなり大人の恋愛になってしまいますよね。それはそれで興味深いのですが。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

 

 

 

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