俳句にはいくつもの賞がありますが、30句、50句と連作で応募しなければならないものもあります。
そんなときは、並べる順番に注意してください。まず、季節は順を追って並べるとよいでしょう。新年の季語の次に大晦日の句が来たら、頭がくらくらしてしまいますよね。だからと言って、必ず新年から始めなければならないというルールはありません。まず冒頭の句を何にするか考えてください。最初の3句程度はパンチがあるものを。夏の句にいいものがあれば、夏から並べても構いません。秋や冬でもOK。
注意点はほかにもあります。歳時記の時候、天文、地理、生活、行事、動物、植物、それぞれの項目の季語がなるべく続かないようにしてください。同じ季語の句を並べるときは、特に慎重に。
ある賞の選考委員の言葉に、こんなものがありました。「作句場所や素材の類似したものが目立ち、季重なりが多いのも気になる」。残念ながらこう書かれた作品は受賞を逃しました。逆にいえば、場所の変化があり、類似した素材が少ないもののほうが評価が高いということになります。さらに言えば 季重なりは、やはり厳しい。賞の選考は減点法ですから、句会ではある程度 許容される季重なりも厳しく審査されてしまいます。
そして、連作の最後は極めつけの一句で終わりたいもの。また句の形式も重要です。例えば切字の「かな」を使った句ばかりが並ばないよう。私自身のことを言えば、ともすれば「かな」の句ばかりが並び、構成が単調になってしまいがちです。
連作の理想は絵巻です。鳥獣戯画を思い浮かべてください。次々に場面が移り変わって飽きさせません。そんな風に句を並べることができれば成功です。
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」