少年の見遣るは少女鳥雲に 中村草田男 俳句を絵画の用語で批評することが出来ます。この句はNHK俳句テキストに堀本裕樹さんが、「絵画的な奥行きのある句」の例として出しているもの。描かれているのは三人です。まず手前に少年がいます。その奥に少女。少年は少女を見ています。そして、少女の奥に早春の空。渡り鳥が北へ帰ってゆきま...
俳句の作り方
俳句の作り方の記事一覧
季語とは決して不変のものではありません。新しく生まれるものもあれば、消えてゆくものもある。冷蔵庫(夏)やナイター(夏)などが新しい季語。そうそうブーツ(冬)も最近のもの。絶滅寸前なのは例えば紙子(紙の着物です。冬)といったかつての防寒具やや電波の日といった記念日。 こうしたものの他に、意味するののの変わってゆく例もあり...
枕草子に出てくる「いとをかし」。大層趣き深いことだなあ、と訳されるアレ。「いと」は大層という意味の副詞です。俳句ではめったにお目にかかりませんが、あることを見分ける際に重宝します。それは、名詞と形容動詞の違い。そんなの、区別できなくても全然平気じゃん、と思ったあなた。実は区別できないと困ることがあるのです。 俳句で頻出...
あさがほのかたちで空を支へあふ 小津夜景 朝顔、もちろんご存知ですよね。あの花が空を支えているというメタファーが素敵な一句。ですが「あさがほのかたちで」の「で」が気になります。「あさがほのかたちが」ならばそのままの意味。空に開いたラッパ型の花が、柱のように空を支えている。「支えあふ」ですから一つの花ではなくいくつかの...
ア行 ア あき 秋 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/9424 あきぞら 秋空 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/9041 あきつばめ 秋燕 https://jhaiku.com/haikudaigaku/archives/...
冬の俳句自動作成 冬の俳句自動作成(上の句) https://jhaiku.com/winter1/ 冬の俳句自動作成(中の句) https://jhaiku.com/winter2/ 冬の俳句自動作成(下の句) https://jhaiku.com/winter3/ 冬の季語「冬浅し(ふゆあさし)」の解説 冬になって...
心にも破魔矢の鈴を鳴らしゆく 岩岡中正「文事(2021)朔出版」 破魔矢は新年の季語。正月の厄除けの縁起物として、神社で破魔矢を受けます。そういえば、鈴がついていました。鈴は神社の拝殿で振り鳴らしたり、巫女が手にもって舞ったりもします。その澄んだ音で魔を払う役割を持っているのです。掲句で目を引くのは「心にも」。手に持...
初御空みづのあふみの揺るぎなし 明隅礼子「超新撰21(2010)邑書林」 初御空は元旦の空。「次第に明け行く空はいかにも清新な気が満ちる」と歳時記に記されています。みそら、みづ、あふみ、と「み」の音が三回繰り返される掲句。調べを美しく整えています。それだけではなく優れて映像的でもあります。 まず、初御空で、元日の空が...
やで切つて名詞で止めよ初句会 今瀬剛一「甚六(2020)本阿弥書店」 俳句に親しんでいる人は「わかるわかる」。知らない人にはちんぷんかんぷんな一句でしょう。俳句に入門した人がまず学ぶのがこの作り方。俳人 藤田湘子が「新版 20週俳句入門(角川学芸出版)」で推奨しています。具体的に実践するとこんな句になるます。 名月や...
去年今年闇の厚きは川の上 岸本葉子「つちふる(2021)角川書店」 去年今年と書いて「こぞことし」と読みます。元日の零時を境に去年から今年に移り変わること。「一瞬のうちに年が変わることへの感慨が籠る」と歳時記には記されています。大晦日、テレビでは紅白歌合戦が終わり「ゆく年くる年」が始まります。各地の除夜の鐘が厳かに写...
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