きごのせつめい・季語の説明【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】

俳句では、季語を説明してはいけないとされます。

例えば「チューリップ」は春の季語。歳時記には「小アジア原産のユリ科の球根植物の花。ヨーロッパで古くから品種改良が行われ、赤、白、黄色、桃、黒紫など花色がきわめて豊富。春、直立する花茎の上に一個の釣鐘形またはコップ形の花を開く。日本で新潟・富山県で栽培が盛ん」とあります。原産、歴史、色、花の形、栽培が盛んな地方。とこれだけの情報が記されています。

チューリップを詠んだ時にすでにこれだけの情報が前提となっているということです。

特に言いたい場合以外は、花色や花の形を説明する必要がありません。十七音しかない詩形ですからわかりきった情報を盛り込むのは損なやり方。「でも、読者がわかってくれるかどうか心配で」と思うかも知れません。心配いりません。読者は必ずあなたよりも季語のことをわかっている(筈)。

チューリップ喜びだけを持つてゐる   細見綾子

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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