目次
秋の俳句自動作成
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秋の季語「秋(あき)」の解説
秋は、夏と冬の間の九月、十月、十一月で四季の第三のことをいいます。暦の上では、陰暦の七月から九月までの立秋から立冬の前日までをいいます。
秋の季語「秋(あき)」の子季語・関連季語・傍題・類語など
秋の季語「秋(あき)」を使った俳句一覧
- 秋の暮近所探して子の居らぬ / 青木月斗
- ささ波や志賀の太湖の秋の晴 / 青木月斗
- 秋風の夜すがら鬼哭啾々と / 青木月斗
- 行平にたく粟粥や今朝の秋 / 青木月斗
- 秋水に須落したる顔洗ふ / 青木月斗
- 竹林に鶏白し秋の風 / 青木月斗
- 初秋の蝗つかめば柔らかき / 芥川龍之介
- 竹の秋茜の産衣ぬひけらし / 芥川龍之介
- 宮城野の萩や夏より秋の花 / 天野桃隣
- 秋風やかかと大きく戦後の主婦 / 赤城さかえ
- 渓流のをどる日南や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 夜の秋や轡かけたる厩柱 / 飯田蛇笏
- 立秋の廂みせたる杣家かな / 飯田蛇笏
- 秋たつや川瀬にまじる風の音 / 飯田蛇笏
- 閼伽桶に秋暑の華のしづみけり / 飯田蛇笏
- 山なみに高嶺はゆがみ秋の空 / 飯田蛇笏
- 杣の火にゆく雲絶えて秋の空 / 飯田蛇笏
- 秋蚕糸干しさらさるゝ次第かな / 飯田蛇笏
- よろ/\と尉のつかへる秋鵜かな / 飯田蛇笏
- この秋は何葉にそへん盆供かな / 飯田蛇笏
- 旅人や秋に後るゝ雲と水 / 飯田蛇笏
- 秋ぐちのすはやとおもふ通り雨 / 飯田蛇笏
- 飄として尊き秋日一つかな / 飯田蛇笏
- 旅人に秋日のつよし東大寺 / 飯田蛇笏
- 野祠に秋日のほめくあたりかな / 飯田蛇笏
- たちいでゝ身にしみ/″\と秋日かな / 飯田蛇笏
- 滝上や大瀬のよどむ秋曇り / 飯田蛇笏
- 小筧や敦盛塚の秋の水 / 飯田蛇笏
- この秋や百穀みのる田面節 / 飯田蛇笏
- 秋蠅や人丸庵の飯《イヒ》にとぶ / 飯田蛇笏
- 秋茄子の葉と花を干す莚かな / 飯田蛇笏
- 墓に木を植ゑたる夢も初秋かな / 飯田蛇笏
- 秋の日や草臥れ足の一葉ふむ / 飯田蛇笏
- 秋風や水薬をもる目分量 / 飯田蛇笏
- 秋霖や蕨かたむく岨の石 / 飯田蛇笏
- 高西風に秋闌けぬれば鳴る瀬かな / 飯田蛇笏
- 秋の蚊帳になみだをさそふ寝ざめかな / 飯田蛇笏
- 秋扇の骨あら/\し小十本 / 飯田蛇笏
- 秋の繭しろ/″\枯れてもがれけり / 飯田蛇笏
- 秋猫の目の糸ほどに恋ひわたる / 飯田蛇笏
- 麦秋や痩馬牽きて長手綱 / 飯田蛇笏
- ほど遠き秋暁け方の雞《カケロ》かな / 飯田蛇笏
- つゝぬけに裏戸の花卉や秋の昼 / 飯田蛇笏
- 秋の昼一基の墓のかすみたる / 飯田蛇笏
- 秋夕やかへりみすなる小女房 / 飯田蛇笏
- ゆく秋の粟食むすゞめ羽を拡ぐ / 飯田蛇笏
- 澄みそめて水ナ瀬のしぶく秋日かな / 飯田蛇笏
- 石橋や秋日のほめく杖のさき / 飯田蛇笏
- 秋の風枕の塵もとめあへず / 飯田蛇笏
- 秋風や浪にたゞよふ古|幣《ニギテ》 / 飯田蛇笏
- 秋雨に賤が身をよす硯かな / 飯田蛇笏
- 秋山や草むら浅き焚火屑 / 飯田蛇笏
- 帝展見秋たゞ中の学徒かな / 飯田蛇笏
- 稲刈や秋のかげろふ笠の端 / 飯田蛇笏
- 藪の樹や見られて鳴ける秋の蝉 / 飯田蛇笏
- 普陀落や竹にやどかる秋蛍 / 飯田蛇笏
- 旅人に行きそふ駄馬や葛の秋 / 飯田蛇笏
- 秋やこの後架を旅のうたごゝろ / 飯田蛇笏
- 白猫やとかげ喰うてふ閨の秋 / 飯田蛇笏
- 秋の鷹古巣にかへる尾上かな / 飯田蛇笏
- 秋ぐちの庭池の扉や月の雨 / 飯田蛇笏
- 峡底の穂家秋あつき調度かな / 飯田蛇笏
- 秋の日の時刻ををしむ厠かな / 飯田蛇笏
- 死骸《ナキガラ》や秋風かよふ鼻の穴 / 飯田蛇笏
- ひるを臥て展墓のゆめや秋の風 / 飯田蛇笏
- 秋がすむ松や古竹や屋敷神 / 飯田蛇笏
- 滝壺や人のたむろす秋日和 / 飯田蛇笏
- 秋雨や田上ミのすゝき二穂三穂 / 飯田蛇笏
- 秋雨や礼容客におのづから / 飯田蛇笏
- 雲ン間に秋雪みゆる旅路かな / 飯田蛇笏
- 情こはく秋雪をさすをんなかな / 飯田蛇笏
- 手をかゞむ白装束や秋の㡡 / 飯田蛇笏
- たましひのたとへば秋のほたる哉 / 飯田蛇笏
- 寂寞と秋の蛍の翅をたゝむ / 飯田蛇笏
- 垣間見し機たつ賤や秋桜 / 飯田蛇笏
- 秋暑したてゝしづくす藻刈鎌 / 飯田蛇笏
- ゆたか着のたもとつれなき秋暑かな / 飯田蛇笏
- 草籠に秋暑の花の濃紫 / 飯田蛇笏
- 秋風や笹にとりつく稲すゞめ / 飯田蛇笏
- 秋山やこの道遠き雲と我 / 飯田蛇笏
- 夜のひまや家の子秋の蟵がくれ / 飯田蛇笏
- かりそめに土這ふ秋のほたるかな / 飯田蛇笏
- 秋蝉のひしと身をだく風情かな / 飯田蛇笏
- 秋は今露おく草の花ざかり / 飯田蛇笏
- ちる笹のむら雨かぶる竹の秋 / 飯田蛇笏
- 秋風や思ひきつたる離縁状 / 飯田蛇笏
- 秋虹をしばらく仰ぐ草刈女 / 飯田蛇笏
- 山の戸やふる妻かくす秋の蚊帳 / 飯田蛇笏
- 臥て秋の一と日やすらふ蚕飼かな / 飯田蛇笏
- 秋の蚊や吹けば吹かれてまのあたり / 飯田蛇笏
- 廬煙りや竹秋の葉のちり/″\に / 飯田蛇笏
- 秋旅や日雨にぬれし檜笠 / 飯田蛇笏
- 転寝や庭樹透く日の秋半ば / 飯田蛇笏
- むら星にうす雲わたる初秋かな / 飯田蛇笏
- 鰯雲簀を透く秋のはじめかな / 飯田蛇笏
- 雲あひの真砂の星や秋の空 / 飯田蛇笏
- われを見る机上の筆や秋の風 / 飯田蛇笏
- 秋扇やつひ来なれたる庵の客 / 飯田蛇笏
- 秋扇やさむくなりたる夜のあはれ / 飯田蛇笏
- ことよせて唄かく秋の扇かな / 飯田蛇笏
- 古りゆがむ秋の団扇をもてあそぶ / 飯田蛇笏
- たちつ居つ高麗人の見る秋蚕かな / 飯田蛇笏
- 花いそぐ秋は草々の夕日かな / 飯田蛇笏
- 夕日影せきて古簾や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 麦秋の蝶吹かれ居ぬ唐箕先 / 飯田蛇笏
- つらぬきて蟻塔の草の秋暑かな / 飯田蛇笏
- 秋日椎にかゞやく雲の袋かな / 飯田蛇笏
- たちいでゝ秋月仰ぐ山廬かな / 飯田蛇笏
- みるほどにちるけはしさや秋の雲 / 飯田蛇笏
- 秋雲をころがる音や小いかづち / 飯田蛇笏
- ゆく雲や燈台守の蟵の秋 / 飯田蛇笏
- つぶらかに秋蠅とるやたなごゝろ / 飯田蛇笏
- 秋の草全く濡れぬ山の雨 / 飯田蛇笏
- ひとり寝の身のぬくもりや秋の夜 / 飯田蛇笏
- 秋分の時どり雨や荏のしづく / 飯田蛇笏
- 秋虹や草山映えて一とゝころ / 飯田蛇笏
- 谷橋に見る秋虹のやがて消ゆ / 飯田蛇笏
- 秋の雲しろ/″\として夜に入りし / 飯田蛇笏
- うちつけに冷えたる闇や秋の蟵 / 飯田蛇笏
- 秋の繭煮えたちし湯や高はじき / 飯田蛇笏
- もちいでゝ身にそふ秋の団扇かな / 飯田蛇笏
- 夜の客に翅ひゞかせて秋の蠅 / 飯田蛇笏
- 秋の蜂巣をすてゝ飛ぶ迥かかな / 飯田蛇笏
- わづか酔ふてさめざる姿態《シナ》や秋女 / 飯田蛇笏
- 通る我をしげ/″\と見ぬ秋の馬 / 飯田蛇笏
- はした女をうつ長臂や秋の夜 / 飯田蛇笏
- 蚕部屋より妹もながめぬ秋の虹 / 飯田蛇笏
- 秋耕にたゆまぬ妹が目鼻だち / 飯田蛇笏
- 蠅つるみとぶ秋耕の焚火空 / 飯田蛇笏
- むちうちて馭者喫驚す秋の蛇 / 飯田蛇笏
- ピストル坐辺にありてこちたし書斎秋 / 飯田蛇笏
- 竹山を舁きでし怪我や秋磧 / 飯田蛇笏
- 秋女酔ひ伏す枕抱きしめて / 飯田蛇笏
- 医者の馬は闇に秋夜の小葬 / 飯田蛇笏
- 秋の夜や熱心みえて小勘定 / 飯田蛇笏
- 樹々のねの秋日ふむ客や足たかく / 飯田蛇笏
- 秋の星遠くしづみぬ桑畑 / 飯田蛇笏
- 逃げ馬にしもとくはへぬ野路の秋 / 飯田蛇笏
- 秋水やすてしづみたる古扇 / 飯田蛇笏
- 秋燈にねむり覚むるや句三昧 / 飯田蛇笏
- 秋夜の燈をつるしあるきぬ日傭男 / 飯田蛇笏
- 秋蝶とぶや雞屠る刃ひつさげて / 飯田蛇笏
- うごく枝に腹つよき力秋の蛇 / 飯田蛇笏
- 谷々や出水滝なす草の秋 / 飯田蛇笏
- 谷川にほとりす風呂や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 尿やるまもねむる児や夜の秋 / 飯田蛇笏
- 僧院や秋風呂たてゝこみあへる / 飯田蛇笏
- 秋日や喰へば舌やく唐がらし / 飯田蛇笏
- はつ秋の雨はじく朴に施餓鬼棚 / 飯田蛇笏
- 感電して少年めぐりおちぬ秋の日に / 飯田蛇笏
- 秋月や魂なき僧を高になひ / 飯田蛇笏
- 鳥かげにむれたつ鳥や秋の山 / 飯田蛇笏
- 耳さとくねて月遠し秋の蟵 / 飯田蛇笏
- 臀たれてむだ飯くらふ秋の猫 / 飯田蛇笏
- 秋蝉やなきやむ幹を横あゆみ / 飯田蛇笏
- 扇折るや烈火にとべる秋の蠅 / 飯田蛇笏
- 秋草やふみしだきたる通ひみち / 飯田蛇笏
- 嘴するや榛高枝の秋がらす / 飯田蛇笏
- 墨するや秋夜の眉毛うごかして / 飯田蛇笏
- 刈草に尾花あはれや月の秋 / 飯田蛇笏
- 秋風や顔虐げて立て鏡 / 飯田蛇笏
- 金剛力出して木割や露の秋 / 飯田蛇笏
- 水門や木目にすがる秋の蠅 / 飯田蛇笏
- ひるねさめて噛みつく犬や秋の蠅 / 飯田蛇笏
- 秋草やぬれていろめく籠の中 / 飯田蛇笏
- 屠所遠くみるつり橋や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 秋の昼ねむらじとねし畳かな / 飯田蛇笏
- ゆく秋や石榻による身の力 / 飯田蛇笏
- 酒坐遠く灘の巨濤も秋日かな / 飯田蛇笏
- かぜひいて見をしむ松の秋日かな / 飯田蛇笏
- 秋風や磊磈として父子の情 / 飯田蛇笏
- 秋風や痢してつめたき己が糞 / 飯田蛇笏
- なんばんに酒のうまさよ秋の風 / 飯田蛇笏
- なにをきく眼じりの耳や秋の風 / 飯田蛇笏
- 森低くとゞまる月や秋の蟵 / 飯田蛇笏
- 灯して妻の眼黒し秋の蟵 / 飯田蛇笏
- 寝てすぐに遠くよぶ婢や秋の蚊帳 / 飯田蛇笏
- 空ふかくむしばむ陽かな竹の秋 / 飯田蛇笏
- 詩にすがるわが念力や月の秋 / 飯田蛇笏
- 甲斐の夜の富士はるかさよ秋の月 / 飯田蛇笏
- 秋山の橋小さゝよ湖舟より / 飯田蛇笏
- 舟人の莨火もえぬ秋の海 / 飯田蛇笏
- 芋秋の大河にあらへたびごろも / 飯田蛇笏
- 開墾地のたばこの花や秋旱 / 飯田蛇笏
- 秋草にあはれもゆるや人の衣 / 飯田蛇笏
- 虚空めぐる土一塊や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 大木を見つゝ閉す戸や秋の暮 / 飯田蛇笏
- 胃ぶくろにすごもる虫や暮の秋 / 飯田蛇笏
- 朴の葉や秋天たかくむしばめる / 飯田蛇笏
- 秋雲をむかへて樹てり杉大樹 / 飯田蛇笏
- 滄溟にうく人魚あり月の秋 / 飯田蛇笏
- 秋風や舟夫翩飜と波の上 / 飯田蛇笏
- 秋風やこだま返して深山川 / 飯田蛇笏
- 槍の穂に咎人もなし秋の風 / 飯田蛇笏
- われ佇ちて古墳の松や秋の風 / 飯田蛇笏
- 岩をかむ人の白歯や秋の風 / 飯田蛇笏
- 大秋と白林を弟子や秋の風 / 飯田蛇笏
- 秋の山国土安泰のすがたかな / 飯田蛇笏
- コスモスの四窓の秋や置扇 / 飯田蛇笏
- かきたてゝ明き御燈や山の秋 / 飯田蛇笏
- 塩辛に一壺の酒や鹿の秋 / 飯田蛇笏
- 舟解くや葬人野辺に芋の秋 / 飯田蛇笏
- 胃洗ふて病院桐の秋闊し / 飯田蛇笏
- 洟かんで耳鼻相通ず今朝の秋 / 飯田蛇笏
- 晴れくもる樹の相形や秋の空 / 飯田蛇笏
- 秋風や眼前湧ける月の謎 / 飯田蛇笏
- 竈火赫とたゞ秋風の妻を見る / 飯田蛇笏
- つぶらなる汝が眼吻はなん露の秋 / 飯田蛇笏
- 牛曳いて四山の秋や古酒の酔 / 飯田蛇笏
- 太祇忌や秋の湖辺の蒲焼屋 / 飯田蛇笏
- 句また焼くわが性淋し蘭の秋 / 飯田蛇笏
- 農となつて郷国ひろし柿の秋 / 飯田蛇笏
- 人の国の牛馬淋しや秋の風 / 飯田蛇笏
- 秋風や野に一塊の妙義山 / 飯田蛇笏
- 水軍に焼かるゝ城や雁の秋 / 飯田蛇笏
- 雁鳴くや秋たゞなかの読書の灯 / 飯田蛇笏
- 雁を射て湖舟に焼くや蘭の秋 / 飯田蛇笏
- 竹の秋一焼す蘭のやまひかな / 飯田蛇笏
- 竹秋や雨露風雪の榻の寂び / 飯田蛇笏
- 糸染むるや秋遠からぬ小野の森 / 飯田蛇笏
- 秋暑し湖の汀に牧の鶏 / 飯田蛇笏
- 仲秋や火星に遠き人ごゝろ / 飯田蛇笏
- 日の秋や門茶につどふ草刈女 / 飯田蛇笏
- たび人に日の秋畠の焚火かな / 飯田蛇笏
- 秋蟵やあした夕べの炉火の紅 / 飯田蛇笏
- 短日のはや秋津嶋灯しけり / 飯田蛇笏
- 巌蔭の廬の三味線や竹の秋 / 飯田蛇笏
- 耶馬の舟古くあやうし竹の秋 / 飯田蛇笏
- 嶋は秋しぐれ易さよ渡り鳥 / 飯田蛇笏
- 小法師や虫なく秋の句沢山 / 飯田蛇笏
- 畠中の秋葉神社や蜻蛉とぶ / 飯田蛇笏
- 墓松に玉虫とるや秋近く / 飯田蛇笏
- 秋近きてすりに凭るや月二つ / 飯田蛇笏
- 師門遠く藻に泳ぐ子や麦の秋 / 飯田蛇笏
- 瓜畑を展墓の人や湖は秋 / 飯田蛇笏
- ゆく秋やかゝしの袖の草虱 / 飯田蛇笏
- とりいでゝもろき錦や月の秋 / 飯田蛇笏
- 晒し場をくもらす秋の二峯かな / 飯田蛇笏
- 秋川や駅にまがりて船だまり / 飯田蛇笏
- 酒肆を出て蘆荻に船や秋の川 / 飯田蛇笏
- ふるさとの木槿の垣や秋出水 / 飯田蛇笏
- かりがねと関の旅人や秋出水 / 飯田蛇笏
- 秋海のみどりを吐ける鳴門かな / 飯田蛇笏
- 茄子畠に妻が見る帆や秋の海 / 飯田蛇笏
- 秋海のなぎさづたひに巨帆かな / 飯田蛇笏
- 炉辺よりこたふる妻や秋の蚊帳 / 飯田蛇笏
- 草庵の壁に利鎌や秋隣り / 飯田蛇笏
- 燈台に灯すこゝろや秋隣り / 飯田蛇笏
- 草の戸の臀たれ猫や暮の秋 / 飯田蛇笏
- 今朝秋や笏をいだけば袖長し / 飯田蛇笏
- 橋からの釣糸ながし秋晴るゝ / 飯田蛇笏
- 在江法師麦の秋風と読りけり / 池西言水
- 夜や秋や海士のやせ子や鳴く鴎 / 池西言水
- 秋惜む鬼灯草や女子の嶋 / 池西言水
- 蓼の秋錦と見るらん犬みかど / 池西言水
- 秋の蛍女は夜を淋しがる / 石井露月
- 唐黍の風や秋社の戻り人 / 石井露月
- 秋立つか雲の音聞け山の上 / 石井露月
- 谿さびし穂高のうへの秋の雲 / 石橋辰之助
- 谿ふかく秋日のあたる家ひとつ / 石橋辰之助
- 秋晴や笹生のひかり木がくれに / 石橋辰之助
- 秋晴やましろの樺はまつたけれ / 石橋辰之助
- 海港の坂の秋日に彳ちてあつし / 石橋辰之助
- 穂草持ちほそりし秋の野川とぶ / 石橋辰之助
- 散弾を掌にしたる日の秋ふかむ / 石橋辰之助
- ゆく秋やふくみて水のやはらかき / 石橋秀野
- 片よせて宵寢の雨戸夜の秋 / 石橋秀野
- 星降るや秋刀魚の脂燃えたぎる / 石橋秀野
- 鐘鳴れば秋はなやかに傘のうち / 石橋秀野
- 秋風や身方が原の大根畑 / 井上井月
- 塗り下駄に妹(いも)が素足や今朝の秋 / 井上井月
- 山々や一こぶしづつ秋の雲 / 岩田涼菟
- 秋寒し岩の上から橋はしら / 岩田涼菟
- 夕暮はいつもあれども秋の海 / 岩田涼菟
- 屋根草も実となる秋となりにけり / 巖谷小波
- ふるさとは山路がかりに秋の暮 / 臼田亞浪
- 山蝉や霧降る樹々の秋に似て / 臼田亞浪
- 秋近き雲の流れを簾越しかな / 臼田亞浪
- 夜は秋の風鈴鳴つて月いざよふ / 臼田亞浪
- うつつ寝の妻をあはれむ夜の秋 / 臼田亞浪
- 秋もはや墓門の萩の散りがてに / 臼田亞浪
- 秋海棠水引草の露けしや / 臼田亞浪
- 秋の燈の白さ人形つくりをり / 臼田亞浪
- 垂れ毛虫皆木にもどり秋の風 / 臼田亞浪
- 秋の日をとどめて松の響きなし / 臼田亞浪
- 焼原の日も暮れてゆく秋の風 / 臼田亞浪
- かたまつて金魚の暮るる秋の雨 / 臼田亞浪
- 燈も秋と思ひ入る夜の竹のかげ / 臼田亞浪
- 暮れてゆく秋の出水の戸口まで / 臼田亞浪
- 枝さきに西日かかりて秋の風 / 臼田亞浪
- 秋来らむ芭蕉に雨のしばしばす / 臼田亞浪
- いるか飛ぶ秋を晴れたる潮路にて / 臼田亞浪
- 秋風の波たち来ればうらがなし / 臼田亞浪
- 秋風の川ひろければ旅おもふ / 臼田亞浪
- 湛水の夜を白々と秋闌けし / 臼田亞浪
- 秋暑く島の浜木綿花過ぎたり / 臼田亞浪
- 照ればなほ秋ゆく竹の翳深く / 臼田亞浪
- 秋風の厨ゆたかに今日も暮れぬ / 臼田亞浪
- 秋の虹二川夕浪たてにけり / 臼田亞浪
- 秋立てる雲の穴目の藍に描く / 臼田亞浪
- 子爪このごろ親指にのみ秋の風 / 臼田亞浪
- 秋深くなりて不気味な朝焼けす / 臼田亞浪
- 秋冷えの目覚め誘うて啼く雀 / 臼田亞浪
- 波来れば立つ巌鳥や秋の風 / 臼田亞浪
- 夜半の秋魚籠の石首魚鳴くくくと / 臼田亞浪
- 草にひく我が影親し秋夕べ / 臼田亞浪
- 秋風や影としもなき石の影 / 臼田亞浪
- 浜浪や秋ゆく草に寄せ返し / 臼田亞浪
- 秋風や網の小鯛の十ばかり / 臼田亞浪
- 秋風は冷たしと思ひ歩をとどむ / 臼田亞浪
- 擲てば瓦もかなし秋のこゑ / 大島蓼太
- 夜雨しばしば照り極つて秋近し / 大須賀乙字
- 妙高の雲動かねど秋の風 / 大須賀乙字
- 浪白う干潟に消ゆる秋日和 / 大須賀乙字
- 今朝秋のよべを惜みし灯かな / 大須賀乙字
- 木の股に木の葉と堪えふ秋の水 / 大須賀乙字
- いづこより我呼ぶ声ぞ秋の春 / 大谷句仏
- 秋悲し法聞く人も説く我も / 大谷句仏
- いざ竹の秋風聞かむ相国寺 / 大伴大江丸
- 秋来ぬと目にさや豆のふとりかな / 大伴大江丸
- うなぎやの二階にゐるや秋の暮 / 大場白水郎
- 髪刈りに秋の夜の坂下りにけり / 大場白水郎
- 星既に秋の眼をひらきけり / 尾崎紅葉
- 死なば秋露の干ぬ間ぞおもしろき / 尾崎紅葉
- 妹と夫婦めく秋草 / 尾崎放哉
- 行秋の居座り雲に夜明けけり / 尾崎放哉
- 今朝秋や庭を掃き居る陰陽師 / 尾崎放哉
- 筆筒にいつまで秋の扇かな / 尾崎放哉
- 便所の落書が秋となり居る / 尾崎放哉
- 秋風のお堂で顔が一つ / 尾崎放哉
- のら犬の脊の毛の秋風に立つさへ / 尾崎放哉
- すでに秋の山山となり机に迫り来 / 尾崎放哉
- 秋日さす石の上に背の児を下ろす / 尾崎放哉
- 秋山広い道に出る / 尾崎放哉
- 焼け土やほり出す海老も秋暑し / 小沢碧童
- ちからなや麻刈あとの秋の風 / 越智越人
- 蝉の音の秋へこぼれて暑さかな / 加賀千代女
- たつ秋の道とおもふはすすき哉 / 加賀千代女
- 秋たつやはじめて葛のあちら向 / 加賀千代女
- 秋たつや寺から染て高燈籠 / 加賀千代女
- 秋来ぬと東ながめてをりにけり / 加賀千代女
- 秋立やすすきの糸もとけてをる / 加賀千代女
- 秋立や風幾たびも聞直し / 加賀千代女
- 蚊屋の浪かほにぬるるや今朝の秋 / 加賀千代女
- 琴の音の我にかよふや今朝の秋 / 加賀千代女
- 見ゆるかとまづ仰向やけさの秋 / 加賀千代女
- 行ちがふ明ぼのくらし今朝の秋 / 加賀千代女
- 唐崎や露につゆ置けさの秋 / 加賀千代女
- 萩の葉のもの言かほやけさの秋 / 加賀千代女
- 初秋やすすきにもつた風ばかり / 加賀千代女
- 初秋や独はらふてもののちり / 加賀千代女
- みみたててうさぎもなにと秋の暮 / 加賀千代女
- 九重も一重に見るや秋のくれ / 加賀千代女
- 温泉の山や秋の夕べは余所の事 / 加賀千代女
- 夕暮れや都の人も秋の顔 / 加賀千代女
- 行秋に袖も留るや女郎花 / 加賀千代女
- 秋風の山をまはるや鐘の声 / 加賀千代女
- 穂に出でぬ薄さそふや秋の風 / 加賀千代女
- 波のうへに秋の咲なり千種貝 / 加賀千代女
- 秋風のいふままに成る尾花かな / 加賀千代女
- 行秋の声も出るやふくべより / 加賀千代女
- ゆく秋や持て来た風は置ながら / 加賀千代女
- 行秋やひとり身をもむ松の声 / 加賀千代女
- 叉越さん菊の長坂秋近し / 各務支考
- 稲稲とそよぐはつらし門の秋 / 各務支考
- 鳥辺野は遁れずやこの浦の秋 / 各務支考
- 一筋の糸よりかなし今朝の秋 / 各務支考
- 薬園の花にかりねや秋の蝶 / 各務支考
- 越後路は百里にかなし今日の秋 / 各務支考
- 花紅葉佐渡も見えたり浦の秋 / 各務支考
- 手拭に紅のつきてや秋海棠 / 各務支考
- 長崎の秋や是より江の月夜 / 各務支考
- 八代や蜜柑の秋も今三日 / 各務支考
- 秋篠の雪ほの白し鷹の鈴 / 各務支考
- 夕貌の汁は秋しる夜寒かな / 各務支考
- 何なりとからめかし行秋の風 / 各務支考
- その親をしりぬその子は秋の風 / 各務支考
- 爪紅のしづくに咲くや秋海棠 / 哥川
- むさし野や艸七尺に秋のたつ / 加舎白雄
- はつ秋や誰先がけし筥根山 / 加舎白雄
- 秋日和鳥さしなんど通りけり / 加舎白雄
- 我庵へなき魂かへれ夜半の秋 / 加舎白雄
- 語れかし秋のゆふべの蓑作り / 加舎白雄
- 秋の夜を小鍋の鯲音すなり / 加舎白雄
- 鶴おりてひとに見らる ゝ秋のくれ / 加舎白雄
- 大寺や素湯のにへたつ秋のくれ / 加舎白雄
- 行秋の草にかくるゝ流かな / 加舎白雄
- 行秋に鮎のしら干哀れなり / 加舎白雄
- すり寄て墓の秋風きく日かな / 加舎白雄
- 吹尽しのちは草根に秋のかぜ / 加舎白雄
- ものゝ音秋は露さへしぐるゝか / 加舎白雄
- 野ざらしを見て通りけり秋の雨 / 加舎白雄
- 羽をかへすみさごに秋の入日哉 / 加舎白雄
- 新酒くまん四十九年の秋は何 / 加舎白雄
- 秋の季の赤とんぼうに定りぬ / 加舎白雄
- 此秋もわれもかうよと見て過ぎぬ / 加舎白雄
- ことごとに我もしらずよ秋の艸 / 加舎白雄
- 終夜秋風きくや裏の山 / 河合曾良
- 撫付し白髪のはねる秋の風 / 河合曾良
- 春の夜の秋より長し草の庵 / 川端茅舍
- 平林寺門前竹の秋の関 / 川端茅舍
- 麦秋や葛西六郎墓移転 / 川端茅舍
- ガタ馬車のべらべら幌や麦の秋 / 川端茅舍
- 麦秋や古墳の如き瓦竃 / 川端茅舍
- もてなすに金平糖や麦の秋 / 川端茅舍
- 大旱天智天皇の「秋の田」も / 川端茅舍
- 渓流も秋月城址栗の花 / 川端茅舍
- 秋風や右に勝れし左の眼 / 川端茅舍
- 牛の舌に水鉄のごとし秋の暮 / 川端茅舍
- 秋風や酒量あがりし美少年 / 川端茅舍
- 秋雨や佛と住みて深庇 / 川端茅舍
- 秋雨や温泉の香のつきし茗荷汁 / 川端茅舍
- 秋暑し榎枯れたる一里塚 / 川端茅舍
- そこはかと茶の間の客や秋の暮 / 川端茅舍
- 塔頭の鐘まちまちや秋の雨 / 川端茅舍
- 秋風や薄情にしてホ句つくる / 川端茅舍
- 秋風や袂の玉はナフタリン / 川端茅舍
- ちらちらと眼に金神や秋の風 / 川端茅舍
- 秋の水湛へし下に湯壷かな / 川端茅舍
- 肥担ぐ汝等比丘や芋の秋 / 川端茅舍
- 秋風に浴衣は藍の濃かりけり / 川端茅舍
- 芭蕉葉や秋白日を照返し / 川端茅舍
- 秋晴れて鴎も眉毛あるごとし / 川端茅舍
- 秋晴るゝ絶壁波の相をなす / 川端茅舍
- 秋晴や波はなかりし片男波 / 川端茅舍
- 此石に秋の光陰矢の如し / 川端茅舍
- 秋風裡炎に蔓を又加ふ / 川端茅舍
- 夕空の土星に秋刀魚焼く匂ひ / 川端茅舍
- 今朝秋の露なき芭蕉憂しと見し / 川端茅舍
- 秋風やささらの棕櫚の蠅叩 / 川端茅舍
- 秋風や稚子大声に待つ門に / 川端茅舍
- 師ゐますごとき秋風砂丘ゆく / 川端茅舍
- 秋風に我が肺は篳篥の如く / 川端茅舍
- 秋風に砂丘に杖を突刺し立つ / 川端茅舍
- 朴を打つ秋雨手裏剣の如く / 川端茅舍
- 曳かれる牛が辻でずつと見廻した秋空だ / 河東碧梧桐
- 卯の花の村麦秋の野原かな / 河東碧梧桐
- 売り値待つ繭の主や秋近き / 河東碧梧桐
- 海濁る津に上る旅や麦の秋 / 河東碧梧桐
- 麦秋の馬に乗る皆が長い足を垂れた / 河東碧梧桐
- 麦の秋匈奴逼ると聞えたり / 河東碧梧桐
- 秋風や道に這ひ出るいもの蔓 / 河東碧梧桐
- 市中や鴉人を見る秋の暮 / 河東碧梧桐
- 塔に上る暗きを出でゝ秋の空 / 河東碧梧桐
- 頂に湖水あろといふ秋の山 / 河東碧梧桐
- 墓と見えて十字架立つる秋の山 / 河東碧梧桐
- 森の中に出水押し行く秋の雲 / 河東碧梧桐
- 泣きやまぬ子に灯ともすや秋の暮 / 河東碧梧桐
- 今朝の秋千里の馬を相しけり / 河東碧梧桐
- 鞴踏む賑ひ過ぎて秋暮れぬ / 河東碧梧桐
- 秋の夜や学業語る親の前 / 河東碧梧桐
- 山囲む帰臥の天地や柿の秋 / 河東碧梧桐
- 学問の稚子のすゝみや秋の風 / 河東碧梧桐
- 幌武者の幌の浅黄や秋の空 / 河東碧梧桐
- 山荘の眺望御記や秋の空 / 河東碧梧桐
- 牧人の日出る方や秋の峯 / 河東碧梧桐
- 人岩の高きに見ゆる秋の山 / 河東碧梧桐
- 秋風秋思松も唐様の名残かな / 河東碧梧桐
- 秋雨や俵編む日の藁一駄 / 河東碧梧桐
- 晴れを鳴く鷽や足尾の秋時雨 / 河東碧梧桐
- 遠のきし雲夕栄えす秋の山 / 河東碧梧桐
- 旅心定まるや秋の鮎の頃 / 河東碧梧桐
- 宝物の鬼気も蝕む秋の風 / 河東碧梧桐
- 雲こめし中や雨ふる秋の山 / 河東碧梧桐
- 果知らず記のあとを来ぬ秋の風 / 河東碧梧桐
- 見えぬ高根そなたぞと思ふ秋の雲 / 河東碧梧桐
- 隔て住む心言ひやりぬ秋の雲 / 河東碧梧桐
- 裸湯の人猿が見る秋晴れて / 河東碧梧桐
- 俳諧の功徳も一分寺の秋 / 河東碧梧桐
- 三日泊りせしを上るや秋の空 / 河東碧梧桐
- 里にかけし板木の下や秋の水 / 河東碧梧桐
- 関跡に地蔵据ゑけり菊の秋 / 河東碧梧桐
- 北よそと吹けば有磯の荒るゝ秋 / 河東碧梧桐
- 灰降りし雪掻きぬ小草秋萌えて / 河東碧梧桐
- 諏訪の水ハタと落ちたり秋立つて / 河東碧梧桐
- 秋霖雨鉱滓何を彩りて / 河東碧梧桐
- 門祓ひ疫絶えし後の秋の空 / 河東碧梧桐
- 竿昆布に秋夕浪のしぶきかな / 河東碧梧桐
- 稲の秋の渡し待つてゐるどれも年寄りと話す / 河東碧梧桐
- 西瓜船の酒菰のまゝ秋になるいく日を過ごす / 河東碧梧桐
- 藻を刈りて泥流れ去りつ秋の水 / 河東碧梧桐
- 秋の水冷々として鐘の下 / 河東碧梧桐
- 秋晴て葭より高き黍見ゆる / 河東碧梧桐
- 秋日和狂ふ那須山颪かな / 河東碧梧桐
- 秋の空虎落の上を行く蜻蛉 / 河東碧梧桐
- 栴檀の実の三ツ叉や秋の風 / 河東碧梧桐
- 秋の雨笹青き上の平かな / 河東碧梧桐
- さびしさのをさなそだちやけさの秋 / 北村季吟
- とけてゐるアイスクリーム秋の蟬 / 木下夕爾
- 児の本にふえし漢字や麦の秋 / 木下夕爾
- 地球儀のうしろの夜の秋の闇 / 木下夕爾
- 秋天や最も高き樹が愁ふ / 木下夕爾
- しその葉に秋風にほひそめにけり / 木下夕爾
- 秋刀魚焼かるおのれより垂るあぶらもて / 木下夕爾
- 秋風にやりし子猫のたより聞く / 久保より江
- さすらひの小唄もよしや秋の風 / 久保より江
- 秋汐にやぶれガルタの女王かな / 久保より江
- 秋の灯や指にをどらす小人形 / 久保より江
- 秋潮に破れガルタの女王かな / 久保より江
- 野ゝ秋や人にとりつく草の種 / 久保田兎園
- みえてゐて瀧のきこえず秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋の暮汐にぎやかにあぐるなり / 久保田万太郎
- 秋の雲みづひきぐさにとほきかな / 久保田万太郎
- 秋風やそのつもりなくまた眠り / 久保田万太郎
- 秋風や水に落ちたる空のいろ / 久保田万太郎
- 鶏頭に秋の日のいろきまりけり / 久保田万太郎
- 飛石の日かげ日向や秋となり / 久保田万太郎
- 飛石の灯影にうかび夜の秋 / 久保田万太郎
- きちかうは秋咲くものの青すだれ / 久保田万太郎
- ときとして遠鶯や秋近し / 久保田万太郎
- 秋近しひねもす雲のわきやまず / 久保田万太郎
- 知らぬまにすこし眠りぬ夜の秋 / 久保田万太郎
- 麦の秋さもなき雨にぬれにけり / 久保田万太郎
- 秋近しときにとぎるる人通り / 久保田万太郎
- 秋近しにはかに逃げし蜘蛛のかげ / 久保田万太郎
- 西日まづ秋めきみするあはれかな / 久保田万太郎
- 空港につづく曠野の麦の秋 / 久保田万太郎
- みわたすやわりなき麦の秋の果 / 久保田万太郎
- あてことのはづれてばかり麦の秋 / 久保田万太郎
- けさもまた雨うとましや麦の秋 / 久保田万太郎
- 夜の秋の月にさがりしすだれかな / 久保田万太郎
- 夜の秋の月のひかりをとらへけり / 久保田万太郎
- セルむかし、勇、白秋、杢太郎 / 久保田万太郎
- 麦秋やひとりむすめを嫁にやり / 久保田万太郎
- 秋出水千住は古き驛かな / 久保田万太郎
- 秋風や鳥居の外はたゞの道 / 久保田万太郎
- 秋の暮の人にぎはひぬ浅草寺 / 久保田万太郎
- 縁下や萩の暮れゐる秋の雨 / 久保田万太郎
- 茶畑の家で灯す秋の暮 / 久保田万太郎
- 芝居みしきのふなつかし秋の暮 / 久保田万太郎
- 霧にさす傘の雨なり秋の暮 / 久保田万太郎
- 汐留の名が秋晴てゐたりけり / 久保田万太郎
- 秋天の下芋坂を下りけり / 久保田万太郎
- 秋の暮上野の奥の谷中かな / 久保田万太郎
- 秋風や井戸をいでたる棹の丈 / 久保田万太郎
- 秋の夜や雨ともならず草津橋 / 久保田万太郎
- 秋刀魚焼く烟の雨となりにけり / 久保田万太郎
- 踏切のあきし往来や秋の暮 / 久保田万太郎
- いたづらに蓼ののびたり秋の風 / 久保田万太郎
- はかなさは月のひかりのすでに秋 / 久保田万太郎
- うちかへす綿の匂ひや秋の蝉 / 久保田万太郎
- かまくらをいまうちこむや秋の蝉 / 久保田万太郎
- 空をみてあれど淋しや秋の暮 / 久保田万太郎
- みえそめし灯かげいくつや秋の暮 / 久保田万太郎
- 立つ秋ののうぜんかづら垂るゝかな / 久保田万太郎
- 峰つくる雲もなごりや秋の暮 / 久保田万太郎
- 寝返してみたる夢もや今朝の秋 / 久保田万太郎
- 糠雨のいつまでふるや秋の蝉 / 久保田万太郎
- きゝなすや汐の遠音を秋かぜと / 久保田万太郎
- 秋風や目かくし高き塀のうち / 久保田万太郎
- 高き木のそよぎみゆるや秋の雨 / 久保田万太郎
- 公園のいさゝ流れや暮の秋 / 久保田万太郎
- よのつねの縁でありけり秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋晴るゝものにふるさと遠きかな / 久保田万太郎
- みえてゐる瀧のきこえず秋の暮 / 久保田万太郎
- 来ては去るバスをけしきや秋の町 / 久保田万太郎
- 剥げそめし空の青さや秋の蝉 / 久保田万太郎
- 秋の風海をけしきの町往来 / 久保田万太郎
- 傘売のぬれてゐるなり秋の雨 / 久保田万太郎
- 大皿の酢蛸も淋し秋まつり / 久保田万太郎
- 大学の門出でくれば秋まつり / 久保田万太郎
- 硝子戸の外の眺めや秋時雨 / 久保田万太郎
- 秋澄むや五輪のいろのそれぞれに / 久保田万太郎
- 茄子の艶すでに秋澄みゐやりけり / 久保田万太郎
- 百花園もとより浸り秋出水 / 久保田万太郎
- 秋出水言問團子やすみをり / 久保田万太郎
- 駆けだして来て子の転ぶ秋の暮 / 久保田万太郎
- 死ぬものも生きのこるものも秋の風 / 久保田万太郎
- 帽子すこし曲げかぶるくせ秋の風 / 久保田万太郎
- 一室の燈火溢れ秋の雨 / 久保田万太郎
- 秋しぐれ冷たき風のそへるかな / 久保田万太郎
- また九月一日来る秋の蝉 / 久保田万太郎
- はつ秋の風起りけり垣の外 / 久保田万太郎
- 秋かぜの回覧板を廻し来る / 久保田万太郎
- 秋風や柳川鍋の赤き蓋 / 久保田万太郎
- 秋風やはなせばながきことながら / 久保田万太郎
- 柿にそへて雷おこし秋のもの / 久保田万太郎
- ゆく秋の不二に雲なき日なりけり / 久保田万太郎
- ふつふつと煮ゆるおでんや暮の秋 / 久保田万太郎
- 秋立つやてのごひかけの手拭に / 久保田万太郎
- 大学の中ぬけて来て秋まつり / 久保田万太郎
- 行く秋やネクタイ赤き少女たち / 久保田万太郎
- 飯櫃の箍のひかりや暮の秋 / 久保田万太郎
- 秋の雨こころもそらにふりにけり / 久保田万太郎
- 秋くさを下げしわが手にさす日かな / 久保田万太郎
- 鮎むしる箸も秋めく日なりけり / 久保田万太郎
- 鎌倉の秋はじめての芙蓉かな / 久保田万太郎
- 秋の夜の下げて貧しき灯なりけり / 久保田万太郎
- 秋袷酔ふとしもなく酔ひにけり / 久保田万太郎
- 蓮の葉のからからに秋晴れにけり / 久保田万太郎
- 秋晴やバスをまつ間の海の色 / 久保田万太郎
- 蕎麦よりも湯葉の香のまづ秋の雨 / 久保田万太郎
- 波音をはこぶ風あり秋まつり / 久保田万太郎
- 秋くさやしばらくは日のさしわたり / 久保田万太郎
- 秋くさを咲かせて塀の高きかな / 久保田万太郎
- 秋くさに芝居みにゆく仕度かな / 久保田万太郎
- 秋晴のかくも木立に遮られ / 久保田万太郎
- 秋淋し綸を下ろせばすぐに釣れ / 久保田万太郎
- 秋風におろして青きわさびかな / 久保田万太郎
- 秋風にふくみてあまき葡萄かな / 久保田万太郎
- 干してある薪にさす日や秋の風 / 久保田万太郎
- 海をみて佇てば海より秋の風 / 久保田万太郎
- ゆく秋やいふこといつもその場ぎり / 久保田万太郎
- あついころ死んだほとけや秋の風 / 久保田万太郎
- 提灯をつけてわたすや秋の雨 / 久保田万太郎
- 遠浮ける雲に日のあり秋の蝉 / 久保田万太郎
- 襟もとを気にするくせや秋袷 / 久保田万太郎
- 秋風の羽織律儀に著たりけり / 久保田万太郎
- 秋風やわすれてならぬ名を忘れ / 久保田万太郎
- ゆく秋や何をおそるゝ心ぜき / 久保田万太郎
- 瀬の音の秋おのづからたかきかな / 久保田万太郎
- 俄雨しきりに秋にいどみけり / 久保田万太郎
- 秋涼し百合のしたゝか活けられて / 久保田万太郎
- 酒あつしはや秋の夜のひえびえと / 久保田万太郎
- さかなやの八百屋の通帳秋の雲 / 久保田万太郎
- つりばしのゆれても秋の夕かな / 久保田万太郎
- つり橋にかゝりて強し秋の雨 / 久保田万太郎
- 地にみてる空のひかりや今朝の秋 / 久保田万太郎
- 襟しかとあはせて秋の袷かな / 久保田万太郎
- みづひきの朱ヶ日に透けり秋の風 / 久保田万太郎
- ゆく秋やわれとわが知る身のやまひ / 久保田万太郎
- 鎌倉の山々秋の暮るゝかな / 久保田万太郎
- 東をどりみに東京へ暮の秋 / 久保田万太郎
- 秋場所や退かぬ暑さの人いきれ / 久保田万太郎
- 秋風や秩父名物太郎蕎麦 / 久保田万太郎
- 板すだれはや秋風のわびしけれ / 久保田万太郎
- 秋風のおとづれはやきなげきかな / 久保田万太郎
- 秋深しすぐ目のまへの山の襞 / 久保田万太郎
- はつ秋の眞菰の景のひらけたる / 久保田万太郎
- わが唄はわがひとりごと露の秋 / 久保田万太郎
- 二度とあの小唄のきけず蟲の秋 / 久保田万太郎
- どぜうやよ子供芝居よ雁の秋 / 久保田万太郎
- 秋風や負けてもけなげ名寄岩 / 久保田万太郎
- 知らぬ犬はしりより来て秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋まつり田無の槻並木かな / 久保田万太郎
- よろづやの日除にさす日秋祭 / 久保田万太郎
- 秋の夜や馴れて二階の上り下り / 久保田万太郎
- 秋風やはうれん草のバタいため / 久保田万太郎
- 秋淋し心おぼえの何やかや / 久保田万太郎
- ひとり漕ぐ櫂のしぶきや秋の風 / 久保田万太郎
- ゆく秋や借りかへすさへなしくずし / 久保田万太郎
- 人めなき露地に住ひて秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋の暮じつとみる手の白きかな / 久保田万太郎
- 何事も胸にをさめて秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋しぐれいつもの親子すゞめかな / 久保田万太郎
- 羊羹の三色五色秋しぐれ / 久保田万太郎
- 立ち枯れの蓼のいとゞし秋しぐれ / 久保田万太郎
- ゆく秋や三日みざりし庭の荒れ / 久保田万太郎
- まざまざとさしてくる日や暮の秋 / 久保田万太郎
- かまくらに秋のせみはや鳴けるかな / 久保田万太郎
- 秋天のもと朝汐の眉の濃き / 久保田万太郎
- 秋風やころばぬさきの杖を突き / 久保田万太郎
- 秋風や鎌倉かけて逗子に用 / 久保田万太郎
- 秋風や海のホテルで町の中 / 久保田万太郎
- 提灯のあかるすぎるや秋まつり / 久保田万太郎
- たる源の桶のかろさに秋立てり / 久保田万太郎
- 子も孫もなき身のをかし秋袷 / 久保田万太郎
- 秋天のひかり落つ五世歌右衛門 / 久保田万太郎
- 秋風や尖閣湾の礁めぐり / 久保田万太郎
- 秋風やいつの世よりの鬼太鼓 / 久保田万太郎
- すゞめ来て萩をゆするや秋祭 / 久保田万太郎
- 豆腐屋にさがる提灯秋祭 / 久保田万太郎
- ひらきたる扇の秋のふかさかな / 久保田万太郎
- 金龍の舞の奇瑞や暮の秋 / 久保田万太郎
- 浅草の秋はなやかにゆくをみよ / 久保田万太郎
- このところ豆腐づくめや暮の秋 / 久保田万太郎
- 秋ぜみの耳をはなれず鳴きにけり / 久保田万太郎
- 息ぎれのしづまるまでや秋の風 / 久保田万太郎
- 秋風や花鳥諷詠人老いず / 久保田万太郎
- 病室のあけくれなれど秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋の暮ひそかに猫のうづくまる / 久保田万太郎
- 月いまだ山をでて来ず秋の暮 / 久保田万太郎
- 病院がわが家の秋の夕かな / 久保田万太郎
- ぼけの實の二つ三つ四つ秋しぐれ / 久保田万太郎
- 火を入れて籠提灯は秋のもの / 久保田万太郎
- 秋涼しさもなき草の花をつけ / 久保田万太郎
- しらしらとあけてくる夜や秋出水 / 久保田万太郎
- ながれゆくものゝ迅さや秋出水 / 久保田万太郎
- またしてもふりくる雨や秋出水 / 久保田万太郎
- 深川は水場の秋の彼岸かな / 久保田万太郎
- 秋海棠きらめく露をよそにかな / 久保田万太郎
- 枝折戸にきえし日ざしや秋の暮 / 久保田万太郎
- 灯のともるまでのくらさや秋の暮 / 久保田万太郎
- 秋の蝉まだ白がすり著たりけり / 久保田万太郎