すばこ「巣箱(春)動物」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】




畳まれて鳥の出てくる巣箱かな  蜂谷一人「青でなくブルー(2016)」

巣箱は、鳥が産卵し雛を育てる木の箱。鳥の繁殖は春に行われるので、春の季語となっています。日本野鳥の会名誉会長の柳生博さんに、以前伺ったことがあります。巣箱は穴の大きさが大事だと。例えばシジュウカラや雀だと3センチ。椋鳥だと4センチ。アオバズクだと10センチという具合。小さすぎると出入りできませんが、大きすぎると蛇などの外敵に狙われやすくなります。シジュウカラだと全長14.5センチ、翼を広げると22センチほどもありますから、3センチの穴はかなり小さい。しかし、器用に羽を畳んで出入りします。ちょうどポマードでオールバックの髪の毛をぺたんと撫でつけたような感じ。穴から出たとたん、翼をひろげて飛び立ってゆく様は手品を見ているようです。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html






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