先日の句会にこんな句がありました。
やわらかきものに赤子の手と仔猫 茂克
よくわかりますよね。赤子の手と仔猫、どちらも確かに柔らかい。きっちり定型に収まっていて、よく出来ています。しかし、ここで満足していてはさらなる上達は望めません。仔猫は季語(春)ですから外せないとして、赤子の手のほうを少し変えてみませんか。赤子と仔猫はどちらも可愛くて生きているものですからジャンルが似ています。一方は違うジャンルにしてみるというやり方もありそうです。意外性が増し、少しだけ世界が広がるはずです。
やはらかきものにメロンパンと仔猫
似たものを並べるのではなく、あえてずらして飛躍させる。そこから詩が生まれます。
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」
公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html