だいざい・題材【超初心者向け俳句百科ハイクロペディア/蜂谷一人】

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何を題材にしていいかわからないときは、その場にある違和感を詠んで成功する場合があります。例えば神社の鉄柵です。もともと鳥居や建物はあったでしょうが、立ち入り禁止の鉄柵などは、比較的新しいものでしょう。違和感があります。でも、そこに着目することでささやかなオリジナリティが生まれるのです。あえて言えば、カメラを向けるとき写ってほしくないもの、それも題材です。時代劇のバックの電柱とか、マンホールや道路工事のようなもの。詩歌とは無縁と思われているものを詠み込むことで、ディテールのくっきりとした句になります。詠んだ人が少ないので注目を浴びやすく、類想の心配もありません。

真上から見るガス工事冬の雨   上田信治

都会の風景です。ビルの上から見下ろすガス工事。地面に大きな穴が掘られていて、冬の雨が真っ黒な穴に吸い込まれてゆきます。真上に据えたワイドレンズが、雨が湾曲しながら落ちてゆく様を見事に捉えています。こんな殺伐としたものに詩を感じることができれば、あなたもいっぱしの俳人です。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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