- のどけさに寝てしまひけり草の上
- 春海の伊勢海老やトロリ葡萄酒煮
- 渋柿の如きものにては候へど
- 絶壁に眉つけて飲む清水かな
- 黛(まゆずみ)を濃うせよ草は芳しき
- 青梅をかむ時牙を感じけり
- 武蔵野は十一月の欅かな
- 秋薔薇や彩を尽して艶ならず
- 梨の肉にしみこむ月を噛みにけり
- いかなごに潜る鵜共や鯛の率
- 稲荷お出も塩小路あたりものめきぬ
- 熊突や爪かけられし古布子
- 庭裏や木守の柿の冬夕
- 早稲田の夜急にしぐれぬ漱石忌
- 山風や夜落ちしとこ湖氷る
松根東洋城 プロフィール
松根 東洋城(まつね とうようじょう、1878年2月25日 - 1964年10月28日)