- かそけくも咽喉鳴る妹よ鳳仙花
- 夜寒さや吹けば居すくむ油虫
- 我が肩に蜘蛛の糸張る秋の暮
- 稲架かげに唖ん坊と二人遊びけり
- 背負はれて名月拝す垣の内
- 遠火事に物売通る静かかな
- 面影の囚はれ人に似て寒し
- 亀鳴くとたばかりならぬ月夜かな
- たまさかは夜の街見たし夏はじめ
- たそがれの草花売も卯月かな
- 椎若葉白々と墓地暮れにけり
- 草笛や泳ぎ子野路をなだれゆく
- かかる夜の風に灯籠流しかな
富田木歩 プロフィール
富田 木歩(とみた もっぽ、1897年4月14日 - 1923年9月1日)
富田 木歩(とみた もっぽ、1897年4月14日 - 1923年9月1日)