- 一本の銀杏を廻り落葉掃く
- はせ栗の落つれば拾ふ住居哉
- 新涼や水深くみて橋渡る
- 麦踏の常の歩みに畑を出づ
- 小さき鉢に取りて雛菊鮮かに
- 独り焼く目刺や切にうち返し
- 桶水に浮きて軽さよ土筆
- 春雪の周囲は解けてヒヤシンス
- 絹袷さらりとほぐし着たるかな
- 匍初めし穂麦の中の胡瓜苗
- なめらかに石を越えたる蜥蜴かな
- 勤行に寝冷の腹を労れり
- 萱刈の地色広げて刈進む
- 胴着着て胸の厚さを合せけり
篠原温亭 プロフィール
篠原 温亭(しのはら おんてい、1872年3月9日(明治5年2月1日) - 1926年(大正15年)9月2日)