つくしんぼ一本づつの砂糖漬 高田正子「青麗(2014)角川学芸出版」
土筆の砂糖漬けってなに?興味を惹かれます。ネットで調べるとありました、ありました。「長期保存がきくカリカリの砂糖菓子」。ネットには佐賀のお菓子とありましたが、他の地方にもありそうです。東京では売っていないので、まずレシピをご紹介しましょう。土筆をきれいに洗って袴を丁寧にとる。土筆を熱湯で三十秒茹で、すぐに氷水にとる。そのまま十五分ほど晒してあく抜きする。鍋に上白糖と水を入れ加熱。砂糖が溶けたら土筆を入れる。シロップが半量になるまで煮詰める。火をとめグラニュー糖をまぶす、と書かれています。大事なのはグラニュー糖を、一本ずつ丁寧にまぶすこと。この作業が仕上がりを左右するそうです。そういえば、掲句も一本づつとわざわざ言っていました。この言葉で出来上がりの姿が目に浮かびます。レシピも俳句も、ポイントは「一本づつ」。なんとも美味しそうな一句です。すぐに食べてみたくなりますが、ちょっと待った。レシピの最後に「陰干しを三日間すること」と書かれていました。何事も忍耐が必要です。
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」
公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html