つばめ 燕【ワンランク上の俳句百科 新ハイクロペディア/蜂谷一人】

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番組で燕の句を募集したところ、可愛らしい「燕の子」を詠んだ作品が数多く寄せられました。残念ながらすべて落選。どこが悪いのかわかりますか?

そう、燕は春の季語。南から渡ってくる燕で「燕来る」「初燕」などの傍題があります。巣作りの時期なので「燕の巣」「巣燕」も春。ところが「燕の子」は夏の季語。同じ動物ですが、子育てを始めると夏になるんですね。実に多くの方が混同していらっしゃる訳です。そして子育てを終えて南に帰ってゆく燕は秋の季語。「燕帰る」「帰燕」「去ぬ燕」「秋燕」などの傍題があります。

番組のゲスト マツモトクラブさんに質問したところ「燕の巣」は冬と堂々のお答え。燕が去って残された巣のことだと思ったんですね。ところが歳時記に空っぽの巣のことは記されていません。この辺りは歳時記をこまめに引かないと、間違えてしまいます。同じ動物なのに春夏秋と三つの季節を示す燕。注意が必要だと井上弘美さんに教えていただきました。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

 

 

 

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