柚子坊のたつぷり食べてよきみどり 片山由美子「飛英(2019)角川書店」
アゲハ蝶は柚子などの柑橘に卵を産みます。その幼虫の芋虫は柚子坊と呼ばれ、柑橘の葉を食べて成長します。確か作者がフェイスブックに自宅の鉢植えでふ化した柚子坊のことを書いていらっしゃったように思うのですが、ですからこの句は身近な観察の句ということになります。
余談ですが、我が家の狭いベランダに山椒の鉢があり毎年アゲハが卵を産みに来ます。わざわざこんなところまで来なくても思うような小さな木なのですが、もしかしたらふ化した場所を覚えているのかも知れません。その山椒が食い荒らされて、葉っぱが一枚もないという状態に至ります。そのままにしておくと、芋虫が飢え死にしてしまうので、なんとか山椒の葉を調達しなければなりません。昨年は秋の終わりでもうどこにも売っていませんでした。仕方なく青山の紀伊国屋まで出かけて、料亭用の山椒の葉を買い求めたのです。あれは高かった!
プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」
公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html
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