きんぎょすくい「金魚すくひ(夏)生活」【最近の句集から選ぶ歳時記「キゴサーチ」/蜂谷一人】

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金魚すくひのプールに金魚足しにけり  池田瑠那「金輪際(2018)ふらんす堂」

歳時記には金魚すくいではなく「箱釣(はこづり)」として載っていることが多いようです。箱釣は夜店で浅い水槽の中の金魚をすくうこと。ただし作者は教師ですから、学校の文化祭の光景だと思いました。

作者は主催者側のスタッフで忙しく働いています。だんだん金魚が少なくなり、補充しなければならなくなった。そこで金魚を足します。モノのように「足す」という表現を用いたところが目を引きます。生き物なのにね。

一匹ずつすくって、ではなくザザザザと水ごと流し込んでいるのではないでしょうか。そんな景色が見えてくるのも「足す」だから。いちいち細かいことに構っていられない現場の忙しさがよく出ています。箱釣の句は沢山ありますが、大抵は掬うところ。足すところを詠んだ句に出会うのは初めてです。

 

プロフィール
蜂谷一人
1954年岡山市生まれ。俳人、画人、TVプロデューサー。「いつき組」「街」「玉藻」所属。第三十一回俳壇賞受賞。句集に「プラネタリウムの夜」「青でなくブルー」

公式サイト:http://miruhaiku.com/top.html

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